「ビリメン」でも成功例 ドラフト116番目指名ハセジュン再登板に期待 

[ 2016年5月11日 08:00 ]

6日の中日戦でプロ初先発した巨人・長谷川

 東京ドームのスタンドを埋めたアフロヘアは、一球一球に集中していた彼の目には飛び込んでこなかっただろう。巨人が「みんなでアフロ」のイベントを仕掛けてオレンジのカツラを観客に配った6日の中日戦。先発したのは右サイドスローの長谷川潤投手だった。

 プロ初登板で4回までゼロを並べ、5回につかまって黒星を喫したものの高橋監督から「試合はきっちりつくれた」と及第点をもらった。翌7日に2軍に戻り、再び出番を待つ身になったわけだが、登板に前後して注目されたのがたどってきた道だ。ルートインBCリーグの石川にいた昨年、巨人の入団テストを受け、育成ドラフトで8位指名。ドラフト会議で12球団が指名した116選手の116番目、どんじりで名前を呼ばれた。

 長谷川のような「ビリメン」でもプロで立派な成績を残す選手はいる。現役ではロッテ・福浦和也。93年ドラフト7位で、12球団で最後の64番目に指名された。01年に首位打者に輝き、通算2000安打まで88本としてプロ23年目に突入している。91年にダイエーから10位指名された田畑一也は全体ラストの92番目。野村克也監督のヤクルトに移籍した95年に12勝、翌96年は15勝と大活躍し「野村再生工場」の名を知らしめる1人となった。

 12球団の監督では、ソフトバンク・工藤公康監督とオリックス・福良淳一監督が共通項で結びつく。前者は81年西武6位、後者は84年阪急6位で、球団が最後に指名した選手だった。両者はドラフト外入団があった時代だが、それ以前にまでさかのぼると、68年に中日で最も下の9位指名を受けた島谷金二が通算1514安打をマーク。3度ドラフト指名を拒否して4度目で入団したエピソードが知られる好打の選手だ。

 長谷川のような育成ドラフト下位入団でもロッテの西野勇士、岡田幸文(それぞれ08年の育成5、6位)、ソフトバンク・千賀滉大(10年育成4位)のような出世例もある。しなやかなフォームに磨きをかけた「ハセジュン」の再登板が楽しみだ。(記者コラム・和田 裕司)

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2016年5月11日のニュース