中日ドラ2佐藤が初登板初勝利 “首位の呪い”解いた

[ 2016年5月11日 05:30 ]

<D・中>中日先発・佐藤

セ・リーグ 中日6-3DeNA

(5月10日 横浜)
 敵地でのヒーローインタビューに、初々しさがにじんだ。「素直にうれしいです。本日は、たくさんの方々に応援していただいて…」。スタンドから「硬いぞー!」と声が飛び、苦笑い。中日のドラフト2位・佐藤が、5回2安打1失点。大野、小熊、ネイラーと相次ぐ先発陣の故障で巡ってきたチャンスを生かし、チームでは98年の川上憲伸以来の初登板初勝利という快挙を遂げた。

 「色々なことを考えず、思い切って投げようとマウンドに上がりました」。マイクは慣れなくても、マウンドでは冷静だった。いきなり先制点をもらった初回を3者凡退。2回は先頭の4番・筒香に真ん中直球を右中間席へ運ばれたが、春季キャンプで友利投手コーチに教わったツーシームを駆使し、3奪三振。5回を70球で、先発としての役割を果たした。

 感謝の気持ちを忘れない優しい青年だ。古川学園高2年から熱視線を送った担当の山本スカウトは「本当に親を大切にする優しい子。母の日に初昇格したことが、最高の母の日のプレゼントになったんじゃないかな」と喜んでいた。東北福祉大4年秋の神宮大会敗退後には「野球をやらせてくれてありがとう」と母・千枝美さんにメール。宮城県在住のため、この日はスタンドで観戦することはできなかったが、「両親に」と白い歯を見せた記念球が最高のプレゼントだ。

 4月29日から8日までセ・リーグは首位に立ったチームが9連敗。だが、そんな『首位の呪い』も、怖い者知らずの22歳が解いてキープした。「きょうは打線が点を取ってくれたおかげです」。7日の巨人戦で同4位・福に続く新人の初白星で4連勝。谷繁監督も「十分投げてくれました。今まで勝ったことのない投手が勝てば、チームにも勢いが付くし、他の投手の刺激になるね」と度重なる孝行息子の出現を喜んだ。(細川 真里)

 ◆佐藤 優(さとう・ゆう)1993年(平5)6月29日生まれ、宮城県出身の22歳。古川学園では3年夏の県大会3回戦敗退。東北福祉大では4年春に4勝。優勝した秋にも2勝を挙げるなど、リーグ通算11勝。明治神宮大会では1回戦で桜井(巨)擁する立命大と対戦し、救援で1回無失点も0―1で惜敗。15年ドラフト2位で中日入り。1メートル87、85キロ。右投げ左打ち。

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