鳥谷連敗脱出V撃!金本監督積極采配もハマった

[ 2016年4月20日 05:43 ]

<神・ヤ>8回無死二・三塁、鳥谷が右前に勝ち越し適時打を放つ

セ・リーグ 阪神8-4ヤクルト

(4月19日 甲子園)
 執念の猛攻で勝利をつかみ取った。阪神は19日のヤクルト戦(甲子園)に8―4で勝ち、連敗を3で止めた。同点の8回、機動力を絡めて好機を作り8年ぶりに5番に座った鳥谷敬内野手(34)の決勝打など10人攻撃で一挙4点を奪い試合を決めた。チームは6試合ぶりの2桁安打を記録し連敗中で重かったムードも払しょくした。

 執念の一打だった。同点で迎えた8回無死二、三塁。虎党の願いを乗せて高く舞い上がった鳥谷の飛球は、右翼手の前に落ちた。江越が決勝のホームを踏むと、甲子園に割れんばかりの歓声が響き渡った。連敗を3でストップする、値千金の決勝打となった。

 「なかなか打てていなかったですけど、いいところで1本打てて良かった。ミーティングでは『連敗中だけど自分たちのできることをやろう』ということで臨みました。行けるという雰囲気はあった。それが勝利につながって良かった」

 普段はクールな背番号1が、お立ち台で喜びをかみしめた。この日の試合前時点で、打率・191。本来の姿を取り戻せないまま時間は刻一刻と過ぎていった。常にポーカーフェースを貫いているが、胸中穏やかではなかったのかもしれない。「どんな形でもいいのでね。当たりは良くなかったですけど」。会心の当たりではなくとも、「結果」が何よりの清涼剤。キャプテンに全幅の信頼を寄せる金本監督も「いい当たりで正面を突くより、結果が出る方が本人の気分も変わると思う。これをキッカケにちょっと楽になってほしい」とねぎらった。

 鳥谷の決勝打の布石となったのは、指揮官の積極采配だった。「フルカウントから三塁に行けたのは大きかった。三振ゲッツーも頭をよぎったけど、そこは攻めようという姿勢でね。三振ゲッツー、ライナーゲッツーも覚悟でね」。8回無死一塁で打席にゴメス。フルカウントから一塁走者の江越にスタートを切らせた。万一ゴメスが三振なら三振併殺もあり得る場面。それでも恐れず、タクトを振った。

 「正直、あのケースはてんびんを掛ける。三振ゲッツー、ライナーゲッツーの確率と内野ゴロゲッツーの確率とね。やっぱり五分五分だと思うから。だから、そこは(勝負だ)ね」

 結果、四球にペレスの暴投も重なり江越は一気に三塁へ。三塁に進んでいたからこそ、鳥谷の微妙な打球でもホームに返ることができた。

 攻撃の手綱を緩めないのも、金本阪神だ。2点を勝ち越し、なおも1死一、三塁で左腕に対して代打福留。「あそこは(相手投手の)右左関係なく。左でも(不調の梅野より)孝介の方が信頼があるので攻めました」。結果的に4得点のビッグイニングを演出し、激闘に事実上の終止符を打った。「まあ3連敗と言っても、1年間、そういう時もあるのでね。そこは本当、気にせずにいつも通り明るく入ったつもりですけどね」。いざ、反攻態勢に入る。(惟任 貴信)

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2016年4月20日のニュース