新井今季初4番でV打「6番でも4番でもやることは同じ」

[ 2016年4月20日 05:58 ]

<D・広>ヒーローインタビューを終え、声援に応える広島・新井

セ・リーグ 広島6-4DeNA

(4月19日 横浜)
 最後は主砲が決めた。広島は19日のDeNA戦(横浜)に6―4で逆転勝利。延長12回1死満塁で、この日から4番に座った新井貴浩内野手(39)が右前に執念の2点決勝打だ。投げては先発・野村を継いだ救援6投手が零封リレー。6番手の中田が今季初勝利を飾った。チームの連敗は2でストップ。新井は2000安打まで残り7本とした。

 ドラマチックな結末だった。勝利の可能性が消える目前での一撃だけに価値がある。三塁側スタンド前でのヒーローインタビュー。決勝打を放った新井を、敵地を埋めた赤ヘル党の大歓声が包み込んだ。

 「皆がつないで、つないでくれたので、何とか還したいと思って打席に入った。最高です!」

 4―4の延長12回。1死から、DeNAの7番手・ペトリックに上位打線が襲いかかった。田中が三遊間をゴロで破って出塁すると、菊池もしぶとくゴロで右前へ。続く丸もゴロで一、二塁間を破り、お膳立ては整った。1死満塁の絶好機。満を持して4番・新井の登場だ。

 「追い込まれていたんでね、何とか食らいついていこう…と。いい結果になってよかった」

 カウント2―2からの5球目、外角直球を叩きつけると、打球は前進守備を敷く二塁・石川の右横を抜けた。三走・田中がゆうゆう生還し、二走・菊池も捕手のタッチを巧みにかわし、右手で6点目のホームに触れる好走塁だ。リプレー検証に持ち込まれたが、判定通りセーフとなった。

 新井は17日の巨人戦(東京ドーム)で奇禍に見舞われた。7回の打席でマシソンの剛速球が右手首を直撃。鬼の形相で唇を真一文字に結び、必死に痛みをこらえる姿が印象的だった。「当たった箇所を見るのが怖かった。(骨が)腫れてたらどうしよう…と。最悪3~4カ月くらいかかるかも…と思った」。2000安打目前で故障離脱した例はあまたある。だが、その影響を感じさせない決勝打。頑強な肉体と強い精神力の賜物だった。

 「(田中)広輔が集中力を持って出塁し、キク(菊池)と丸も後ろにつなぐ意識でやってくれた。最後は新井がスゴい。いい仕事をしてくれた。接戦をモノにできてよかったよ」

 4番・新井起用が的中し、緒方監督は白い歯をのぞかせる。当の本人は「6番でも4番でも、やることは同じ。ランナーを何とか還すだけ」と言うが、ここ一番での勝負強さは健在だ。2000安打へは残り7本。意識を問うと、あっけらかんと笑って言った。

 「これが無いんです」

 近づく偉業。ひたすらチームの勝利を追求する背番号25が今日もバットでファンを魅了する。(江尾 卓也)

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2016年4月20日のニュース