【鈴木啓示の視点】虎救援陣の好投が野手のリズム生んだ

[ 2016年4月20日 09:00 ]

<神・ヤ>乱調の藤浪(右)を救った中継ぎ陣(左から)榎田、高橋、安藤は最後を締めたドリス(98)をハイタッチで出迎える

セ・リーグ 阪神8-4ヤクルト

(4月19日 甲子園)
 阪神の勝因は救援陣の踏ん張りだろう。6回から登板した榎田、安藤、高橋が1イニングずつをテンポ良く投げた。そのことが野手にリズムを生み、8回の勝ち越しにつながった。9回には初登板のドリスも3人で抑えたし、9回サヨナラ勝ちで決めるよりもむしろ、チームとして良い勝ち方ができたのではないだろうか。

 超変革を掲げている金本監督はここまで、先発投手を引っ張る傾向にあったが、きょうは5回でよく交代を決断した。107球という球数、内容からすれば交代しても不思議ではないのだが、藤浪がエースである以上、どうしても引っ張りたくなってしまう。その決断の早さもまた、勝因の一つに挙げていいだろう。

 藤浪は良いボールと悪いボールがはっきりとしていた。高めがシュート回転して中へ入るボールが多かったように思う。技術的には上半身と下半身が1本の軸となって回転した時には、その回転によって腕が振られるため指先にかかった良いボールになっていた。その一方で、下半身が先行して上半身が遅れてしまうと、その分、腕に頼った投げ方になってしまう。

 もちろん、中日に3連敗を喫していたチーム事情が、藤浪に必要以上のプレッシャーを与えていたことは否めない。「自分が投げて勝たないといけない」という重圧が、気負いになった部分もあるだろう。これはエースとしての責任感から来るもので、エースならではの悩みとも言えるだろう。(スポニチ本紙評論家)

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2016年4月20日のニュース