黒田“本拠の鬼”今季6戦負けなし チーム本拠地連敗7で止めた!

[ 2015年6月6日 05:30 ]

<広・楽>7回無失点で5勝目の黒田

交流戦 広島2-1楽天

(6月5日 マツダ)
 メジャー帰りの40歳が窮地を救った。広島・黒田博樹投手(40)は5日、楽天戦に先発し、降りしきる雨にも動じず、7回を4安打無失点で5勝目。チームの連敗を3で、負ければワースト新記録だった本拠マツダスタジアムの連敗も7で止めた。これで同球場では今季6試合に先発し、3勝負けなし。チームは依然最下位に低迷しているが、ここ一番で頼りになる右腕が先頭に立って引っ張っていく。

 肌寒い雨が降りしきるマツダスタジアムで、黒田は表情を変えずに投げ続けた。最大のピンチは0―0の6回。連打と四球で2死満塁を背負ったが、伊志嶺の右前に抜けそうな鋭い当たりを一塁手の新井が横っ跳びして好捕。トスを受けた黒田が一塁ベースを踏んだ。

 「ゴールデングラブ(賞)を獲れる守備。凄いですよね。なかなか気合だけでは捕れない」。今季ともに古巣に復帰した38歳の気迫あふれるプレーを目の当たりにし、気合が入らないわけがない。直後に2点の援護をもらうと、7回はきっちり3人で抑えて、救援陣にバトンを託した。

 4安打無失点で5勝目。「チームの勝利が一番。ちょっと嫌な流れだったので、ここで食い止められた。良い流れができるんじゃないですか」。チームは3連敗中。マツダスタジアムでは5月23日のヤクルト戦から7連敗で、球団ワーストに並んでいた。さらに負ければ借金も今季ワーストの9に膨らむ危機的状況だった。男は、止める仕事を己に課していた。

 もう一つ、黒田は感謝の気持ちを胸にマウンドに上がった。6月2日は、02年に60歳で他界した母・靖子さんの命日。5月31日、チームの大阪遠征中に休日があり、両親の墓参りに訪れた。「せっかく近くまで行ったので、手を合わせてきました。良いタイミングだったんじゃないかなと思います。母には感謝しています」。今なおメジャーで戦える力を持ちながら、古巣・広島に復帰。そんな黒田の男気は靖子さんの教育による影響が大きい。天国の母へささげる白星にもなった。

 昨季までメジャーで5年連続2桁勝利を挙げていた黒田だが、貪欲な姿勢は日本に戻っても変わらない。1日の練習中には15歳下の野村にカーブの握りについて助言を求め、前田健とも技術論を交わした。「祐輔(野村)やマエケンに教えてもらった」というカーブも織り交ぜ、145キロを超える直球、得意のツーシームで初対戦の楽天打線を翻ろうした。

 本拠地7連敗の間、黒田の先発はなかった。期待通り連敗ストッパーの役割を果たし、これで本拠地では6戦3勝で負けなしだ。松田元(はじめ)オーナーが「(入社から)30年、こんなのは初めて」という年間指定席完売で開幕した今季。本拠地で29試合を終えて平均観客動員は2万9639人で、球団初の主催試合200万人超えへ突き進む。そのマツダスタジアムでは、黒田は負けない。

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