2日で“驚弾”3発の敦賀気比・松本、甲子園は「楽しい場所でした」

[ 2015年4月1日 16:04 ]

<敦賀気比・東海大四>8回、決勝2ランを放ち、ガッツポーズで一塁を回る敦賀気比・松本(手前)と喜ぶベンチ

第87回選抜高校野球大会決勝 敦賀気比3―1東海大四

(4月1日 甲子園)
 誰がこんな幕切れを予想していただろうか。いや、もしかしたら甲子園の神様が史上初の偉業をやってのけた少年に、とびきりのご褒美を用意していたのかもしれない。

 8回、敦賀気比の攻撃は、四球と送りバントで築いた1死二塁のチャンスを迎えていた。初回に1点ずつを取り合い、その後はお互いにチャンスを作りながら「あと1本」が出ず、じりじりとした展開でやってきた場面。ここで敦賀気比(福井)の“恐怖の6番打者”松本哲幣(てっぺい)外野手が右打席に入ると、降雨もあって満員とはいかなかったスタンドを緊張感と期待感が交錯する空気が包む。

 前日行われた大阪桐蔭(大阪)との準決勝で大会史上初となる2打席連続満塁本塁打を放った背番号17のラッキーボーイ。決勝戦では、それまでの打席で快音は聞かれず、犠打野選で1回出塁しただけの2打数無安打に終わっていた。

 だが、粘りの投球を続け、打線の援護を待つエース平沼翔太(3年)をこれ以上苦しませたくない強い思いが胸いっぱいに広がる。「絶対に助けたい」。その意思が乗り移ったバットが1ボールからの2球目、甘く入ったスライダーをとらえた。歓声に後押しをされるようにスピードを増した飛球がぐんぐん伸びる。そして、左翼スタンドへ2日で3本目となる“驚弾”が突き刺さると、雨に濡れた甲子園が揺れた。

 「観客席の方々から最高の声を聞かせてもらって最高です。(甲子園は)これまでの野球人生でないぐらい、すごく楽しい場所でした」と声を弾ませた松本。ヒーローインタビューに並んで上がったエース平沼から「昨日もきょうも助けてもらって、本当にありがとうの一言です」と感謝の言葉がかけられると、たった2日で人生が変わったヒーローは照れ臭そうに微笑んだ。

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