ハム稲葉 20年連続アーチ 大卒では金本に並ぶ最長タイ

[ 2014年8月15日 05:30 ]

<日・ロ>5回1死一塁、2ランを放った稲葉(左)は栗山監督に迎えられる

パ・リーグ 日本ハム11-7ロッテ

(8月14日 札幌D)
 久しぶりの感触が両手に残った。4点差から詰め寄り、4―5とした5回1死一塁。唐川が投じた低めの139キロ直球をコンパクトに振り抜いた日本ハム・稲葉の打球は、札幌ドームの大歓声を切り裂き、右翼席最前列に飛び込んだ。

 「“いけ!いけ!”と思って走った。久しぶり過ぎて感触を忘れていた」。新人から20年連続本塁打となる今季1号は逆転2ラン。その瞬間、大きく右手を突き上げた。

 今月3日に42歳になった。打撃練習でもフェンスを越えない日があり、思うような打球が飛ばなくなっていたという。「今年は本塁打は出ないと思っていたから良かったよ」。試合後は、しみじみと語りだした。4月に左膝を手術。7月12日に復帰したが、打率は・229に低迷した。周囲からは慣れない代打での出場による影響を心配されたが、稲葉本人は「調子は良い。全く“ノー感じ”ではない」と自らの感覚を信じ続けた。

 この日は4試合ぶりのスタメン出場。前日の試合後に栗山監督から「イナ、あした(先発で)いくよ!」と伝えられた。指揮官の期待に応えた稲葉は「良い準備ができた。監督に感謝したい」と言った。手術したばかりの左膝は万全であるはずがない。ベストコンディションで試合に臨めるためには、早い段階での心の準備が必要だという気遣いがうれしかった。

 調子が出ない中でもリーダーとして明るさは失わなかった。前日の練習中から、自ら持ち込んだ90年代の音楽を流した。TUBE、広瀬香美、篠原涼子…。「懐かしい曲をかければ、チームに会話が生まれる」と説明した。6回にも無死一、三塁から右前適時打を放ち、2安打3打点。主砲・中田も「稲葉さんが5番にいてくれたら心強い。チームがガッといける」とうなった。

 チームは勝率を再び5割に戻した。稲葉は「また謙虚にこつこつとやっていこうと思う」と言葉に力を込めた。20年目のベテランの一打でチームは息を吹き返した。

 ≪プロ野球記録は谷繁≫稲葉(日)が5回に逆転の1号2ラン。これでヤクルトでデビューした95年から20年連続本塁打。連続シーズン本塁打のプロ野球記録は89~14年谷繁(横、中)の26年だが、大卒では93~12年金本(広、神)と並ぶ最長タイ記録になった。稲葉は現在42歳0カ月。日本ハムで42歳を過ぎて本塁打をマークしたのは岩本義が45歳5カ月まで6本、大島が43歳8カ月まで2本、落合が44歳5カ月まで5本放ったのに次いで4人目だ。

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