ソフトB大隣 408日ぶり「感謝」の登板 難病から復活7球

[ 2014年7月14日 05:37 ]

<日・ソ>8回に登板した大隣

パ・リーグ ソフトバンク1-5日本ハム

(7月13日 札幌D)
 奇跡のカムバックだ!ソフトバンク・大隣憲司投手(29)は13日、日本ハム戦の8回に4番手として復帰登板。1回を7球、3者凡退に仕留めた。難病の黄色じん帯骨化症を乗り越え、昨年5月31日以来408日ぶりの1軍マウンド。スタンドで見守った優子夫人(29)が感極まって号泣する中、第一歩を踏み出した。試合は1―5で敗れたが、ソフトバンクは首位をキープ。

 ブルペンでの緊張がウソのようだった。408日ぶりに立った1軍のマウンド。大隣は不思議と落ち着いていた。1番・陽岱鋼(ヨウダイカン)から始まる上位打線を3者凡退、わずか7球で料理し、ベンチ総出で迎えられた。

 「考える間もなくパッと終わって…。これまでのことを思い描く前にベンチに戻ってました。思い返すのは先発で投げた時ですね」

 4点リードされての8回の登板。楽な場面で投げさせてやりたいという首脳陣の配慮から7回に2点を追加された時点で登板が急きょ決まった。「思い切って投げようとだけ思っていました。その通りのピッチングができた」。

 国指定の難病・黄色じん帯骨化症と診断され、昨年6月21日に手術を受けた。元来が明るい性格。削り取った病巣を「キクラゲみたいやった」と笑い飛ばし、主治医にオペの様子を収めたDVDをおねだりし、自宅で観賞した。「ノミのようなもので背中を叩いてたんですよ」。

 ただ、その後のリハビリは簡単なものではなかった。感覚は依然しびれたまま。自宅ではシャワーの温度設定を目いっぱい回し、左足にお湯を掛けた。「熱い、熱い」と叫んだが、実際は言葉にしているだけ。温度の感覚などなかった。これは熱いんだと脳内にすり込み、感覚を思い出させるリハビリの1種。気が遠くなるような作業だった。

 だが、病気になったことで人間的に成長できた面もあった。「これまでは気にもとめなかったもの。日常では当たり前に見えるもの全てに感謝しながらやるようになった」。

 難病に打ち勝っての歴史的なマウンド。それでも「きょうは復帰であって復活でも何でもないです。先発で1年間ローテを守って投げることがゴールだと思っています」と満足感はない。

 今後は球宴休みがあることもあり、1度出場選手登録を外れ、2軍で先発調整に入る。秋山監督も「その可能性はあるんじゃないの」と先発を示唆。大隣が完全復活を遂げれば、V奪回の機運は一段と高まる。

 ▼妻・優子さん(一塁側スタンドから復活登板を見届ける)震えるというか、痙攣(けいれん)するような感じ。あそこに立っていることが信じられない。(マウンドに立った姿を見て)いろいろなことを思い出しました。

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2014年7月14日のニュース