群馬にいた逆ダル!技巧派左腕、三振ゼロも1失点完投 父がイラン人ハーフ

[ 2014年7月14日 05:30 ]

<高崎商・樹徳>9回を0奪三振ながら6安打1失点、完投勝利を挙げた樹徳・ホジャティ

群馬大会2回戦 樹徳3―1高崎商

(7月13日 上毛敷島)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は13日、39大会で386試合が行われた。群馬大会では22年ぶりの甲子園出場を狙う樹徳が、高崎商に3―1で勝って初戦突破。イラン人の父を持つホジャティ博和投手(3年)が6安打1失点で完投した。

 ダルビッシュのように、剛速球で奪三振ショーを繰り広げることはできない。この日奪った三振はゼロ。それでも、ホジャティは9回1死一塁からこの日4個目の併殺を奪って1失点完投し、満面の笑みを浮かべた。

 「三振はなくてもいい。打たせたらバックが守ってくれるので信じて投げた」。ダルビッシュと同じくイラン人の父と日本人の母を持つ。しかし、「本家」とは何から何まで全てが対照的だ。身長1メートル96に対し、1メートル74。右投げの本格派に対し、左投げで技巧派だ。最速は129キロ。左で投げても130キロを投げるダルビッシュに及ばない。正反対の投球スタイルでアウトを積み重ねた。

 右足を大きく上げ、小さいテークバックで打者のタイミングを外す。スリークオーターの変則フォームで投げ込み、今大会前に覚えたツーシームがさえた。初回は「緊張した」と2四死球でいきなり1死一、二塁のピンチを招いたが、4番・渡辺を左直で併殺。その後も新球を武器に内野ゴロで11個のアウトを稼ぎ、再三のピンチを併殺で切り抜けた。チームのモットーは「受けに回らず攻める」。8回に1点を失い、なおも2死三塁のピンチ。それでも「抜けてきていたけど、ツーシームを信じた」と代打・大友を左飛に打ち取った。 昨季メジャーで最多奪三振を獲得したダルビッシュを「凄い」と憧れるが、「凄すぎてまねできない」ともいう。違いを認識するからこそ「力がないので、低めを意識して打たせて取る」投球に徹した。今大会前までは力任せの投球も目立ったが、今春の関東大会で関東一(東京)など強豪と対戦したことで打たせて取る「逆ダルスタイル」を再確認した。

 19日の3回戦・利根実戦に向けても「打たせて取って楽しむことが一番」と意気込む。本家とは違い、ゴロを打たせることに快感を感じる左腕がチームを92年以来の甲子園に導く。

 ◆ホジャティ 博和(ひろかず)1996年(平8)6月19日、群馬県邑楽町生まれの18歳。小4から長柄ドジャースで野球を始め、樹徳では2年夏からベンチ入りし、昨秋から背番号1を背負う。イラン人の父・ジャテルさんは野球経験がなく、サッカー好き。1メートル74、66キロ。左投げ左打ち。

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2014年7月14日のニュース