番長三浦 男の勲章 史上4人目22年連続勝利

[ 2014年7月14日 05:30 ]

<ヤ・D>22年連続で勝利を挙げた三浦は両手で「22」

セ・リーグ DeNA8-4ヤクルト

(7月13日 神宮)
 ハマの番長が帰ってきた!DeNAの三浦大輔投手(40)が13日、ヤクルト戦で5回を3安打1失点で今季初勝利をマーク。22年連続勝利となり、工藤公康(元横浜)と山本昌(中日)が持つ23年連続勝利のプロ野球記録にあと1と迫った。今季は投手コーチ兼任として臨んだが、2度の2軍落ちを経験。それでも腐らずに6度目の登板で白星をつかんだ。チームは今季4度目の4連勝。後半戦の巻き返しに、不惑の右腕は欠かせない。

 長かった。真っ黒に焼けた40歳はヒーローインタビューで、神宮に駆けつけたDeNAファンに「お待たせしました」と声を張り上げ、少し照れた。史上4人目の22年連続勝利。「振り返れば長いけど、優勝に貢献するために一試合、一試合やってきただけ。時間がかかったけど、一つ勝つ大変さを知った」。三浦は言葉に実感を込めた。

 6月14日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来、約1カ月ぶりの1軍登板。1点リードの初回、同点打を浴びて、なお1死満塁のピンチを招いた。だが、ここからが真骨頂だ。相川をスライダーで遊ゴロ併殺打。2回2死二塁は山田をスライダーで右飛に打ち取った。5回3安打1失点。要所で見せる制球力こそが、22年間培ってきた三浦の最大の武器だった。

 昨年はチームトップの9勝。しかし、投手コーチ兼任となった今季は苦しんだ。この試合まで0勝4敗、防御率5・46。昨オフに久保、尚成、モスコーソを補強し、三嶋、井納ら若手も台頭してきた。「今まで先発で投げてきた安心感もあって、今年は少し余裕がなかった。野球を楽しめなくなっていた」と漏らした。焦りで生命線の制球に狂いが生じていた。

 2度の2軍降格を味わった。午前6時過ぎに起床し、横須賀市のベイスターズ球場で午前8時半から1人黙々と体を動かす生活。免除を許可されていた午前10時からの全体練習も参加した。「1軍の試合を見ると“18”のユニホームを着たファンがいる。絶対に戻りたいと思った」。だから、気持ちは折れなかった。

 奈良・高田商から91年ドラフト6位で入団。最初は2軍の試合でも登板できず、打者のバットを片付けた。「2年でクビになると思った。体は大きくないし、速い球もない。生き残るには制球力を磨くしかない」。球半個分を出し入れする制球力は、誰よりも早く球場入りして走り続けた下半身の粘りのたまものだった。

 チームは今季最多タイの4連勝。中畑監督も「勝利の女神が応えてくれたね。内容以上に執念を感じた」と三浦の好投を称えた。もちろん、三浦も節目の白星で満足はしていない。「前半戦の1勝をきっかけに後半はもっともっと勝てるようにしたい」。意地を見せるのはこれからだ。

 ◆三浦 大輔(みうら・だいすけ)1973年(昭48)12月25日、奈良県生まれの40歳。高田商から91年ドラフト6位で大洋(現DeNA)入り。05年に最優秀防御率と最多奪三振のタイトルを獲得。昨年6月12日ロッテ戦では球団最年長完封を達成した。今季から投手コーチを兼任。1メートル83、88キロ。右投げ右打ち。

 ≪歴代3位タイ≫40歳6カ月の三浦(D)が先発で今季初勝利を挙げ、プロ2年目の93年から22年連続勝利。連続シーズン勝利の最長は工藤公康(横浜)と山本昌(中)の23年で、三浦は米田哲也(近鉄)と並び歴代3位タイとなった。また、チームで40歳以上の投手の勝利は工藤に次ぎ2人目。工藤は先発で44歳4カ月、救援で46歳1カ月の球団最年長勝利記録を持っている。

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