下克上アゲイン!井口マリンガン打線に火つけた11得点

[ 2013年10月13日 06:00 ]

<西・ロ>1回2死、先制弾を放った井口はナインに迎えられる

パ・リーグ クライマックスシリーズ ロッテ11-1西武

(10月12日 西武D)
 クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(3試合制)が開幕し、パ・リーグはレギュラーシーズン3位のロッテが2位西武に11―1で大勝した。ベテランの井口資仁内野手(38)が初回の先制本塁打を含む2安打3打点とけん引した打線は、16安打11得点と爆発。13日の第2戦に勝てば17日に開幕する楽天とのファイナルステージ進出が決まる。10年にも3位からCSを勝ち抜き、日本一となったロッテ。「下克上アゲイン」だ。

 狙った。チームに新たな息吹を吹き込む完璧な一振りだった。初回2死走者なし。2ボール2ストライク。井口は岸が投じた143キロの高めのボール気味の直球を強引に引っ張った。高々と舞い上がった打球は、西武ファンで埋め尽くされた左翼席中段へと落ちた。

 「簡単に3人で終わって相手に流れをつくりたくなかったからね。ホームランを打てれば最高だと思ってたけど、まさかだね。相手にプレッシャーになったと思う」

 短期決戦において、一本の本塁打がチームに勢いをもたらすことは誰よりも知っている。ホワイトソックス時代の05年、地区シリーズでレッドソックスと対戦。井口は第2戦で逆転3ランを放ち、チームはそのまま世界一に上り詰めた。

 3回1死一、三塁では左犠飛で2点目をもたらし、4―0の5回にも中前適時打で3打席連続打点を挙げた。「一人一人がつないでいい場面で回してくれたので、いい仕事ができた」。38歳が引っ張ったマリンガン打線は、今季レギュラーシーズンで3勝9敗と苦戦していた西武ドームで面白いようにつながり、16安打11得点と圧倒した。

 最近もメジャー中継を欠かさずにチェックしているという井口の刺激となっている存在が、かつて二遊間を組んでいたフアン・ウリベ(ドジャース)だ。「毎試合見てますよ。一緒にやった仲間なので、刺激を受けますね」。ド軍も地区シリーズを突破。負けてはいられない。

 2位を懸けた8日の西武戦は敵地で2―10の大敗。レギュラーシーズンを3連敗で終え、西武戦も4連敗中と不利な要素ばかりだった。勢いは西武が完全に上と思われたが、井口の考え方は違った。「CSは別もの。あの敗戦で逆にウチが優位だと思った。失うものはなくなったから」。追う立場になったことで、チーム全体に積極性がよみがえった。この日も、各打者が一貫してファーストストライクから強振。西武バッテリーに恐怖心を植え付けた。

 10年には「史上最大の下克上」と呼ばれ、リーグ3位から日本一になったロッテ。その時もCSファーストSは西武と対戦、舞台も同じ西武ドームだった。当時、主役を演じたベテランたちは振り返る。4回に左越えソロを放ったサブローは「ポストシーズンになると本当に強くなる。それがロッテというチーム。緊張なんかしないし、楽しくて仕方ない」。2二塁打で1打点の里崎も「下克上アゲイン。僕らが元祖・下克上です」と言い切った。

 3年前の再現へ。伊東監督は「(西武に)仕返しできたね。やっぱりこのチームはベテランだなとつくづく感じた」と満足げにうなずいた。

 ▽10年ロッテのポストシーズン レギュラーシーズン最終戦の勝利で3位の日本ハムを抜き、滑り込みでのCS出場だった。西武とのファーストSは2試合連続の延長戦を制して突破。ソフトバンクとのファイナルSは、アドバンテージを含め1勝3敗の崖っ縁から3連勝し、3位チームとして史上初めて日本シリーズへ進出した。中日とのシリーズは延長戦3度の激闘の末、4勝2敗1分けで5年ぶりの日本一を勝ち取った。

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2013年10月13日のニュース