ダル「前半戦と全然違う」…自在9K15勝!岩隈に投げ勝つ 

[ 2012年9月16日 06:00 ]

<レンジャース・マリナーズ>7回、ペゲロを空振り三振に討ち取り、雄叫びを上げるレンジャーズ・ダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ9―3マリナーズ

(9月14日 アーリントン)
 ダルの勝ち!レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が14日(日本時間15日)のマリナーズ戦で7回2安打1失点と好投し、15勝目をマーク。5回1/3を7安打2失点だった岩隈久志投手(31)とのメジャー初対決を制した。日本投手1年目では07年の松坂大輔(レッドソックス)に並ぶ最多勝利で、大リーグ史上16人目となる新人年間200奪三振も達成。地区3連覇へ突き進むシーズン終盤に向け、安定感を増してきた。

 ダルビッシュのギアが一段上がった。2―1の5回2死。9番・川崎に対し、2球目にこの日最も遅い61マイル(約98キロ)のカーブでストライクを取り追い込む。最後は最速の94マイル(約151キロ)直球で空振り三振。球速差は実に53キロもあった。この回3者連続三振に仕留めると、右拳を握り、グラブをパチンと叩いた。

 日本では名勝負を繰り広げてきた岩隈とのメジャー初対決。「あまり向こうの投球は見ていない」と意識の外に置くほど、相手打者との戦いに集中した。5回先頭のペゲロからシーズン200個目の三振を奪い、川崎の三振で07年の松坂の1年目(201奪三振)を上回った。「三振を競う競技ではない」と素っ気ないが、9奪三振で記録はリーグ3位の205まで伸びた。

 「前半戦と全然違う、自分の思い通りのことができている。いつでもストライクを取れる感じはある。楽に勝負はできている」。夏場のフォーム改造で制球力が増したことで生まれる相乗効果がある。これまでは序盤に多彩な球種を投げ、状態を確認した上で、使える球種で勝負していたが、この試合は全く違った。

 4回無死二、三塁のピンチを背負うまで、58球でカーブは3球。ところが、それ以降は52球中9球と、勝負球に配した。その結果、最後の3イニングで打者10人から6三振。「打者もタイミングが合ってきだしていたので、(捕手の)ソトにカーブをどんどん使っていこうかと途中で話をした」と振り返る。序盤は手の内を隠し、中盤以降に球種を広げることで、打者は的を絞れなくなる。過去3試合全てで5失点以上していたマ軍相手に、犠飛による1点だけ、わずか2安打と圧倒した。

 15勝は松坂の日本投手1年目の最多記録に並んだ。3試合連続で7回以上を投げ3安打以下と圧巻の投球を続ける右腕が、残り3戦の登板で更新する可能性は高い。

 前夜の9回逆転負けを払しょくする快投で、チームはリーグトップの86勝。144試合消化時点では球団史上最高勝利数で、地区3連覇へ、また一歩前進した。だが、右腕には気負いも慢心もない。「昨日は昨日で全く違うし、今日は今日。シーズンも終わっていない」。目標は世界一。シーズンの深まりとともに再び凄みを増してきたダルビッシュは、10月の戦いまで見据えている。

 ≪史上25人目≫ダルビッシュが15勝目をマーク。1年目で登板27試合以内で到達したのは、記録が残る1918年以降では史上25人目で、レ軍では初。また、3試合連続で7回以上を投げ、被安打3以内。これは同年以降では史上59人目で、レ軍では90年のノーラン・ライアン(現球団社長)以来。

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2012年9月16日のニュース