メジャー12球団に衝撃!藤浪、前回覇者を2安打13K完封!

[ 2012年9月2日 06:00 ]

<台湾・日本>2安打13奪三振で完封勝利を挙げた藤浪

18U世界選手権1次ラウンド 日本2―0台湾

(9月1日 蚕室)
 世界にその実力を見せつけた。日本は1次ラウンドで前回優勝の台湾と対戦。甲子園大会で史上7校目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(3年)が13三振を奪い、わずか2安打に抑え込んだ。同投手はこれで今夏の甲子園準決勝の明徳義塾(高知)戦、決勝の光星学院(青森)戦に続いて3試合連続での2安打完封勝利。台湾戦はメジャー12球団、国内2球団が視察。阪神は1日までに今秋ドラフトで藤浪を1位指名する方針を固めるなど、藤浪株は急上昇している。

 不慣れなマウンドも、滑りやすいとされる国際球も関係なかった。藤浪はどこに行っても藤浪だ。前回覇者に真っ向勝負を挑み、見事にゼロを9つ並べた。

 「きょうはどうしても勝たなきゃいけなかったので、気合を入れて投げた。木製バットなので球速は少し抑え気味にしても、低めに投げればなかなか打たれることはないと思っていた」

 それでも序盤は真っすぐで押した。初回にいきなり151キロを計測。中盤からは意識的にテークバックを小さくするフォームで制球重視を心掛け、スライダー、カーブと変化球も巧みに織り交ぜ、台湾打線を最後まで寄せ付けなかった。

 中学3年時にも日本代表に選ばれ、AA世界野球選手権の決勝トーナメントの台湾戦で先発。しかし、当時は4回6失点で降板。3年後に訪れたリベンジの機会。「しっかり振ってくるので、丁寧に投げることを心掛けた」と苦い経験を生かした投球でもあった。

 前日のカナダ戦では大谷(花巻東)が4回途中3失点でKOされ、チームもサヨナラ負け。大谷の投球をベンチから見守り「気合が入りすぎているところがあったんじゃないか」。反面教師にした。気合は入れても、気負いはしない。4回に初安打を許し、無死二塁のピンチを背負ったが、冷静に後続を打ち取り、6回まで毎回の10奪三振と圧巻の投球を見せた。

 8回にも3者三振。9回にも150キロを計測した藤浪に、視察に訪れたメジャー12球団のスカウトは、大谷以上の衝撃を受けた様子だった。ツインズのマイク・ラドクリフ・スカウトは「獲得できるなら、もちろん欲しい」。藤浪は今後の進路について、現時点で国内プロ球団が第1志望だが、海を隔てた争奪戦に発展することは間違いない。

 準決勝、決勝で連続完封した甲子園大会が終わってからまだ9日。藤浪自身も「調子は万全とは言えなかった」と打ち明けたように激戦の疲労は残っている。宿泊先で連日マッサージを受けるほどだ。それでも、この日も完封し、目下、27イニング連続無失点。その間、奪三振は35を数えた。

 「(負けられない)責任感は感じていたけど、いつもの自分のピッチングをしようと思った。チームが勝つことが一番。日本でやってきたことが世界で通用しました」

 重圧を乗り越え、手にした世界1勝に、満足げな表情で胸を張った。

 ▼小倉全由監督 藤浪はよく投げてくれた。さすが甲子園優勝投手。変化球の制球が良かった。

 ▼日本ハム・山田正雄GM 負けられない大事な試合で抜群の安定感だった。1年生の時から考えたら凄く成長している。

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2012年9月2日のニュース