背水4年目の大田、3安打3打点「やっと仕事できた」

[ 2012年9月2日 06:00 ]

<巨・D>2回1死一、二塁、巨人・藤村の適時三塁打で生還する一走・大田(右は勝呂三塁コーチ)

セ・リーグ 巨人9-1DeNA

(9月1日 東京D)
 今季初スタメンの巨人・大田泰示外野手(22)が1日、決勝打を含む3安打3打点の大当たり。チームを3連勝に導き、初のお立ち台に上がった。入団4年目。松井秀喜(前レイズ)が背負った背番号55を与えられた大砲候補が、ようやく1軍で結果を残した。投げては移籍1年目のデニス・ホールトン投手(33)が10勝目。若手と移籍組の力がかみ合い、優勝へ向けたマジックは2つ減って「21」。原巨人がVロードを一気に加速させた。
【試合結果】

 東京ドームのお立ち台で、背番号55がひときわ輝いた。苦しんだ末に、大田がようやく晴れ舞台に立った。「うれしいです。必ず結果は出ると信じてやってきた。やっと仕事ができた」と歓喜の声を響かせた。

 この日に1軍に昇格し、即「7番一塁」でスタメン起用された。2回1死一、三塁。チェンジアップを中前に運び先制の適時打を放つと、4回に左前打、5回には右中間に2点二塁打。昨年までの3年間で4安打3打点だった男が1試合で3安打3打点。「去年も1軍でヒット打ったけど内容が違う。ちょっと自信になる一打席一打席だった」と少しだけ胸を張った。

 「ダメなら辞めるつもりでやる」。そう覚悟して臨んだ4年目だった。初の開幕1軍こそつかんだが、2打数無安打で4月10日に早くも出場選手登録を抹消された。5月5日には左太腿裏を肉離れし約1カ月の戦線離脱。だが何もできない時間が、逆に大田を変えた。「考える時間ができた。ケガをプラスにしてやれたし、あの時間は無駄じゃなかった」

 2軍の野村バッテリーコーチの話にペンを走らせ1軍の試合映像を見て配球を学び直した。その結果「直球は甘いところにはこない。チャンスでは初球から積極的でないと不利になるだけ。基本に忠実にセンター返し」と考えるに至った。3安打はいずれも変化球を2球目以内に仕留めた。引っ張り一辺倒ではなく、逆らわず打ち返した。

 「いろいろな感情、悔しい気持ちもバネにやってきた」

 前日の小山に続く若手の台頭。巨人の勢いは止まらない。

 ▼DeNA・友利投手コーチ きょうは大田デー。誰一人、厳しいコースに投げられていない。プロの厳しさを教えられず、引き立て役になったね。

 ◆大田 泰示(おおた・たいし)1990年(平2)6月9日、広島県生まれの22歳。東海大相模では1年春からベンチ入り。3年夏は神奈川大会新記録の5本塁打を放ったが、2年連続準優勝で甲子園出場なし。08年ドラフト1位で巨人入団。松井秀喜(前レイズ)以来の背番号「55」を受け継いだ。昨年5月18日の楽天戦(Kスタ宮城)でプロ初安打。今季から外野手登録。1メートル88、92キロ。右投げ右打ち。

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