「辞める前にもう一度」…小久保、試合中に感涙

[ 2010年9月27日 06:00 ]

試合中に優勝が決まり、涙を浮かべる小久保

 【ソフトバンク3-8楽天】指揮官に続き、主将は3度宙を舞った。晴れやかな笑顔。ソフトバンク・小久保はナインとともにファンが待つ右翼に向かうと、自らが音頭を取って万歳三唱を繰り返した。

 「辞める前にもう一度優勝したかったので本当にうれしいね。胴上げは監督に気を使ってもらったよ」
 優勝決定はネクストサークルで知った。その裏、一塁の守備位置で涙をあふれさせた。「気にするなというほうが無理。(日本ハムが)勝った瞬間に緊張の糸が切れてしまった」。昨年CS第1ステージ。同じKスタ宮城で楽天に連敗し09年が幕を閉じて小久保は号泣した。あれから1年。同じ球場でリーグ制覇を成し遂げ「仙台で悔し涙を流して、今度はうれし涙をね。ここは縁があるんだなあ」と振り返った。
 前回リーグ優勝した03年は開幕前に右ひざを負傷してシーズンを棒に振った。この喜びを味わうのは00年以来で「実質10年ぶりやね」と笑う。そこまでの道のりは長かった。「主将をやらせてください」。02年オフ。当時主将だった秋山監督が引退し後任を申し出たが、その機会はなかった。
 だが当時の球団社長との衝突で03年オフに巨人に無償トレードされると、その巨人で06年に主将に就いた。「物凄くいい経験。自分のことだけではなく連帯責任でも怒られる。得るものは大きかった」。06年に王監督(現球団会長)の胃がん全摘出手術。そのオフに恩返しのためFA宣言して古巣に復帰した。昨年就任した秋山監督から主将を任され、迎えた2年目。主将マーク「C」を胸に若手を厳しく指導した。鬼の形相で怒鳴ったり、熱っぽく野球論を説いたり。6月には首痛などで1カ月離脱。外からチームを眺め、甘さに気づいた。戦列復帰すると主将の厳しさは増した。
 「それが今置かれている役目。残り5試合でチームはたくましくなった。若手もいい経験をした。勝つことですべてが報われた」。王手をかけていた通算400号は今季最終戦でも打てなかった。だが小久保は「来年の楽しみに取っておくよ」。10月で39歳になる4番は力強く言った。

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2010年9月27日のニュース