青木、先頭打者弾で史上初2度目の200安打

[ 2010年9月27日 06:00 ]

初回、青木は、200安打となる先頭打者アーチを放つ

 【ヤクルト3-1中日】ヤクルトの青木宣親外野手(28)が26日、中日戦で金字塔を打ち立てた。初回に先頭打者本塁打を放ち、史上初となる2度目のシーズン200安打をマークした。今季は阪神のマット・マートン外野手(28)、ロッテの西岡剛内野手(26)に次ぐ3人目の達成者。青木は残り8試合で、マリナーズのイチロー外野手(36)がオリックス時代の94年につくった210安打のプロ野球記録の更新を狙う。

 冷たい雨を忘れるような温かいスタンディングオベーションに迎えられた。青木がゆっくりとダイヤモンドを回る。史上初となる2度目のシーズン200安打達成を先頭打者アーチという最高の形で成し遂げた。
 「ホッとしたし、本当にうれしかった。やり遂げた達成感がある」
 1点を追う初回。2ボールから内角高めの直球を振り抜き、打球は右翼席へ飛び込んだ。歓喜の余韻が残る2回終了後、強い雨で一時中断。33分後に再開したが、ノーゲームなら幻の200安打目となっただけに「雨雲は動かせないし、打ち直しかなあ。1年に2回200安打を打つのかなと思った」と苦笑いした。
 常識を打破しながら進化してきた。入団2年目の05年は手首の角度でバットの出し方が変化することに気づき、通常は手首を立てる右手甲をあえて水平にする握りで初の200安打を達成。現在の青木は「点ではなく、線で打つ」ことに意識を置く。上からバットを振り下ろして最短距離で球を打つことがセオリーだが、青木はフラットにバットを出し、線の軌道で球をとらえることが安打量産への道と考えた。
 昨年11月に両足首三角骨除去手術を受けたが、体重を5キロ以上絞った80キロで臨み、体調面の不安を払しょく。心技体がそろった今季は、三振数が05年の113個から59個に激減。05年達成時も内角高めの球を右前打したが、今回は進化を示すようにスタンドまで運んだ。リーグトップの18死球と厳しく攻められる中で達成した偉業。その打撃理論は、百戦錬磨の伊勢巡回打撃コーチが「ワシらが思いもよらないことを考えとるで」と舌を巻く領域に達している。
 23日(日本時間24日)に10年連続200安打を達成したイチローへ祝福メールを送ると、すぐに返信があった。「210本を超えてくれよ」。136試合で200安打はシーズン211安打ペース。日本球界最強の安打製造機に成長した青木が、あこがれの大先輩の激励に応える。

 ≪観戦の夫人「お疲れさま」≫元テレビ東京アナウンサーの佐知夫人(27)はバックネット裏で夫の快挙を見届けた。宮崎・日向から上京した青木の両親らと観戦し「ただただお疲れさまの一言です」と感激。ヒーローインタビューで青木から「家族の支えなしではできなかった。奥さんを大事にしたいなと思います」と呼びかけられ、観客席から何度も頭を下げた。4月末にテレビ東京を退社して主婦業に専念。12月に予定する挙式の準備中だ。今季は通算1000本安打など節目の試合に訪れており「瞬間瞬間を共にするために、主人は“(仕事を)やめてほしい”と言ったんだと思います」と話していた。

 ≪05年より7試合早く≫青木(ヤ)が初回に本塁打を放ち、05年に続き2度目のシーズン200安打を達成した。プロ野球6度目。1人で2度は青木が初めてだ。05年の出場143試合(チーム145試合)より7試合早く到達した。

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2010年9月27日のニュース