松井秀またV打!長打率・612に指揮官も最敬礼

[ 2010年4月20日 06:00 ]

ブルージェイズ戦で3連勝、笑顔を見せる松井秀(左から3人目)らエンゼルスナイン

 【エンゼルス3-1ブルージェイズ】エンゼルス・松井秀喜外野手(35)が18日(日本時間19日)、ブルージェイズ戦に4番・DHで出場。0―0の6回に中堅左へ先制二塁打を放つと、9回にも左中間二塁打を放ち追加点の口火を切った。今季早くも3度目のV打で、チームは初の3連勝。過去7年間をはるかに上回る長打率・612をマークしているゴジラの長打が、天使の軍団を引っ張る。

 松井は、球団職員からボールが欲しいかと聞かれ「大丈夫」とやんわり断った。6回に放った二塁打が、メジャー通算200二塁打。好投を続けていた昨季13勝左腕ロメロから均衡を破る一打だったが、数字にこだわりはない。それでも、長打という部分に、松井のプライドが垣間見えた。
 「特別な思いはないけどそれだけ長打を積み重ねてきたということは、いいことだと思います」
 9回の打席も左腕ダウンズから、ほぼ同じ軌道の外角直球を中堅から左に運んだ二塁打。「強く振ってバットと球の角度であそこに飛んだという感じ」と偶然性をほのめかしたが、実際は違う。
 いかに球を遠くに飛ばすか。「毎打席本塁打」を理想に掲げる松井が、長距離砲として永遠のテーマと向き合う時、常に鍵になるのが外角球のさばき方。ヤンキース入団当初は外角の動く球に苦しみ、一時ははしも左手で持つなどハンドリングの強化に没頭した。
 今季は例年より、外角球をとらえるポイントを前に置くことで飛距離が出ている。レギュラーシーズン5年ぶりに逆方向に叩き込んだ9日アスレチックス戦での2号アーチが典型例だ。ポイントが後ろで左翼前の単打が多くなっていたものが、腕をいっぱいに伸ばしたポイントで球をとらえているので、より力強い打球が飛ぶ。実際、今季16安打中、長打は半分の8本で、長打率・612は昨季の・509を大きく上回る。この試合の2本の二塁打は、左投手の外角球をいずれも左中間の最深部に運んだ。ワールドシリーズMVPを獲得した昨季終盤の打撃ですら完成型ではなく「あの時の打撃を目指すということはしない。理想は自分の中にある」と見据えているのはさらに上。その一端が広角の長打として表れているのだ。
 チーム6勝のうち、3本の決勝打を放っている新4番について、ソーシア監督は「本当に勝負強い。スイングのバランスが素晴らしい」と最敬礼。今季初の3連勝で借金は残り1。松井は「勢いというか、しっかり戦っている。これが続けばいいと思う」と表情を緩めた。昨季は12試合連続が最高だった先発出場は、早くも開幕から13試合連続に伸びた。ようやく本来の力を出し始めたエ軍の中心に、松井がどっしり座っている。

 <今季のゴジラは広角>今季、松井は左中間への長打が3本(本塁打1、二塁打2)。昨季は50本の長打を記録したが、右翼が27本、右中間が8本と、70%は中堅から右方向に引っ張ったもの。左中間は3本(すべて二塁打)しかなく、今季は早くもその数字に並んだ。今季は本塁打3本も左中間、中堅、右中間と打ち分けており、広角に長打を放っている。

 <現時点でア・リーグ10位>松井のメジャーでの長打率は、これまで04年の・522が最高。二塁打34、本塁打31本で塁打数305だった。今季は現時点でア・リーグ10位で、1位はクルーズ(レンジャーズ)の・927。巨人時代は99年から4年連続で長打率が6割を超え、最高は50本塁打を記録した日本で最後のシーズン02年の・692(セ1位)。長打率は「塁打数÷打数」で計算。大リーグ記録は01年ボンズ(ジャイアンツ)の・863で、日本では86年バース(阪神)の・777が最高。

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2010年4月20日のニュース