ブラジルパワーだ!羽黒 サヨナラ快勝

[ 2009年7月21日 06:00 ]

<羽黒・山形中央>オリヴェイラ(左)とファニョニは羽黒高校の女子生徒たちにせがまれて記念写真

 【山形・羽黒2-1山形中央】山形大会では第1シードの羽黒がブラジル人留学生のオリヴェイラ・ウィリアム内野手(3年)のサヨナラ打で山形中央を下した。

 うれしいやら照れくさいやら。サヨナラ二塁打を放ったブラジル人留学生・オリヴェイラは、はにかみながらナインの輪に飛び込んだ。「まさか走者が還ると思わなかったので…。でも日本でサヨナラ打は初めてでうれしい。VAMOS(バモス=行けっ)でした」
 第1シードは思わぬ苦戦を強いられた。山形中央の左腕・横山に打線がてこずり8回まで7安打1得点。だが同点の9回2死一塁から1番のオリヴェイラの放った打球が左翼線で弾み一塁走者の水口が一気に生還。05年センバツで日系ブラジル人の片山を擁し4強入りして以来の聖地へまた一歩近づいた。

 中学時代、ボーイズリーグのブラジル代表だったオリヴェイラは、この日4打数1安打だった1メートル96、100キロのドラフト候補の4番・ファニョニと来日。ところが毎冬約2メートルも積もる雪に驚き、オフも絶え間なく行われる練習に高校野球の厳しさを痛感した。音を上げて母国が恋しくなったことは何度もあった。

 毎年4月の羽黒山山頂にある出羽神社まで2446段に及ぶ階段を歩いて上る学校行事にも「凄い所に来てしまった」。それでも夢は日本のプロ野球選手。日本語を早く覚えるために寮ではあえて別部屋で生活し、今では2人とも流ちょうな日本語を話す。高校通算30発のファニョニの目標の選手は横浜・筒香(つつごう)で19日の高校通算68号にも「凄いっす。まじヤバイ」と興奮していた。

 「オリヴェイラは状況に応じ引っ張りも流しもできる。ファニョニも大柄だけどチーム打撃ができる」と横田監督。羽黒の命運を握るブラジルコンビは発展途上。あこがれの甲子園でサンバのリズムを刻むその日までフォア・ザ・チームで戦い続ける。

 ◆オリヴェイラ・ウィリアム 1991年6月13日、ブラジル・サンパウロ州生まれの18歳。11歳から野球を始めサグラド・コラソン中ではボーイズリーグのブラジル代表に選出され投手と外野手。サッカーも得意でドリブルは200回以上可能。07年に来日。家族は両親と妹。1メートル84、80キロ。右投げ左打ち。

 ◆ファニョニ・アラン 1991年12月23日、ブラジル・サンパウロ州生まれの17歳。8歳で野球を始めカントリー・キッズ中ではオリヴェイラと同じくブラジル代表。07年来日時にすでに1メートル92あった。家族は両親と兄、姉。1メートル96、100キロ。右投げ左打ち。

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2009年7月21日のニュース