岩村 大好きなおじさんへ“供養”の一打

[ 2009年5月5日 06:00 ]

<レイズ・レッドソックス>4回、レイズ・岩村明憲が左翼線にポトリと落ちる二塁打を放つ

 【レイズ5-3レッドソックス】レイズの岩村が3日(日本時間4日)、悲しみを乗り越えて“供養”の一打を放った。

 「形はどうであれ勝ちたかった。(日本に)帰るわけにはいかないし、ヒットや勝利を伝えることが自分の役目だとおもった。勝利をささげたかった」

 訃報はこの日朝に届いた。母方のおじが亡くなったのだ。東京ドームが開設された88年。愛媛に居た当時9歳だった自分を同球場に連れて行ってくれたのがおじだった。「東京のお父さんのような感じ。大好きだった。野球を好きにさせてくれた人」。数年前に脳梗塞(こうそく)で倒れたものの、懸命のリハビリで一時は会話ができるまで回復したという。それだけに他界したことをすぐには受け入れられず、クラブハウスでは視線を遠くに考え込む姿も見られた。

 ただ、野球人として目の前の試合に集中した。同点で迎えた4回1死一塁で詰まりながらも左翼線へ。ラインぎりぎりに落ちる二塁打に、「一瞬、どこに飛んだか分からなかった。でも、ああいうヒットは大好き」。悲しみを振り切るように、フルスイングが生んだ一打。直後にはチームが2点を勝ち越し、敵将フランコナ監督も「岩村の一打が大きかった」と嘆いた。

 岩村は05年に母・美千代さんを肺がんで亡くした際も試合のため葬儀に出席できず、そのかわり2打席連続本塁打を含む3安打で精いっぱいの供養に努めた。大切な人を失った悲しみは尽きない。ただ岩村の気持ちは天国のおじに確実に伝わったに違いない。

 ≪クロフォード6盗塁!大リーグタイ記録≫クロフォードが金字塔を打ち立てた。4安打1四球と5打席すべてに出塁し、二盗を5度、三盗を1度成功させ、大リーグ記録に並ぶ1試合6盗塁をマーク。近代野球といわれる1900年以降では史上4人目(5度目)で、ア・リーグでは1912年のコリンズ(アスレチックス)以来97年ぶりの快挙となった。過去4度のリーグ盗塁王は「記録は知らなかった。知っていたら(8回2死二塁の場面でも)走っていたよ、残念」と悔しそうだった。

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2009年5月5日のニュース