イチロー“自己ワースト”26打席無音

[ 2008年3月13日 06:00 ]

第1打席でファウルに顔をしかめるイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(34)が、ついに“自己ワースト記録”を塗り替えた。11日(日本時間12日)、当地でのロッキーズ戦に1番・中堅でフル出場したが、またもノーヒットに終わった。いまだオープン戦無安打で26打席、23打数とも自身の無安打記録を更新。ジョン・マクラーレン監督(56)もタイミングのズレを指摘するなど、事態は少しずつ深刻さを増してきた。

 バットから快音が消え、イチローの表情からは笑顔が消えた。親善試合を含む実戦8試合で26打席23打数無安打。打率は・000。05年シーズンの24打席22打数をいずれも更新する自己ワースト記録だ。
 「出しにいってるよ。いつも結果を求めている。求めていないことはない」。例年オープン戦ではテーマや課題を持ち、シーズンに向けた感覚を磨くことを大事にしている。しかし、今は何よりも結果を求めていた。それなのに出ない。ロ軍エース左腕フランシスには力のない投ゴロと左飛。6、9回も外寄りの球に当てただけの打撃だった。7日のカブス戦で四球を選んでから13打席連続で出塁もしていない。こちらも06年5月の自己ワースト(16打席)が迫ってきた。これまで静観していた米メディアも、いよいよ事態を深刻視。試合後に約10分間、イチローを取り囲んだ。
 ここまで余裕の表情を見せていたマクラーレン監督も「若干タイミングがずれている。早い分だけ泳ぎ気味になり、ボールを微妙にとらえきれていない」と打撃フォームを分析。すぐに「心配ない。復調はすぐだよ。何といっても7年連続200安打しているイチロー・スズキなんだから」とフォローしたが、表情は硬いままだった。
 メジャー屈指の安打製造機に狂いが生じているのか。打席でも「嫌~な視線を感じる」とイチローは苦笑する。今季はメジャー記録となる8年連続200安打、そして残り215本に迫っている日本歴代1位の3085安打もかかった“記録イヤー”だけに、シーズン中の重圧は例年以上になる可能性もある。
 かつてない“沈黙”を乗り越えた先に天才打者は何を見せてくれるのか。イチローは「(悪い記録は)超えておいた方がいいね。超えておかないといけない。それは良かったです。悪いことはつくっておかないと」と言った。その言葉は、ただの強がりではない。

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2008年3月13日のニュース