北翔海莉 この作品に出合うために宝塚に入った

[ 2016年9月6日 05:30 ]

「この作品に出合うために宝塚に入ったのかも」と語る北翔海莉
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 兵庫・宝塚大劇場で上演中の「桜華に舞え/ロマンス!!」(10月3日まで、東京公演は10月21日~11月20日)は、星組トップスター北翔海莉&妃海風のサヨナラ公演ということもあり連日、大盛況だ。

 幕末の乱世を生き抜きながら「義」を重んじたばかりに、西郷隆盛とともに散った桐野利秋の半生。北翔は「これこそが私の一番やりたかった芝居。この作品に出合うために宝塚に入ったんだ、と思えるような役です」と思い入れも半端ない。

 圧巻は“30人斬り”とも言われるクライマックスでの派手な立ち回り。「とにかくボロボロになって“潔く散れ!”みたいな心境です。イメージは“SHOCK”の堂本光一さんが最後ヘロヘロになって階段落ちする…みたいな」と思いは熱く、実際に鹿児島に出向き薩摩藩に伝わる剣術「自顕(じげん)流」も学んだ。「本物を知った上で宝塚バージョンをやらないと、と思いまして。わずか2日でしたが“スジはいい”って褒められました」と肩をすくめた。

 北翔は96年、ビリで宝塚音楽学校に入学。「人の3倍やらないとついていけなかった」と振り返る通り努力に努力を重ね若手のころから注目のスター候補生だった。しかし、12年にはいったん専科に異動。そこからのトップ就任は近年では異例中の異例だった。「人は“波瀾(はらん)万丈だったね”と言いますが、私は専科に行ったからこそ引き出しも増え、試練以上の宝物を見つけた」と静かに話す。この姿勢は必ず後輩に伝わるはずだ。(土谷 美樹)

 ★北翔 海莉(ほくしょう・かいり)3月19日生まれ、千葉県松戸市出身。市立第二中を経て98年初舞台。月組配属となり03年「シニョール ドン・ファン」で新人公演初主演。06年宙組に組替えし12年7月、専科入り。特に歌唱力にたけ昨年3月には東京、大阪でビルボードライブに出演。同5月、星組に組替えとなりトップスターに。身長1メートル69。愛称「みっちゃん」。

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