聖乃あすか 久しぶりの“王道のイケメン” 美しさと品格で胸を締め付けるような傑作に仕上げた

[ 2023年5月6日 11:00 ]

森鴎外の「舞姫」で熱演を見せる聖乃あすか
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 【Saturday宝塚】花組期待の男役、聖乃あすか(せいの・あすか)2年ぶりの主演作「舞姫」が宝塚バウホールで開幕した(14日まで)。

 原作は明治の文豪、森鴎外の短編小説。国費留学生として、周囲の期待を一身に背負いドイツに留学した青年・太田豊太郎(聖乃)と現地の踊り子、エリス(美羽愛)との清くもはかない愛の物語で、聖乃は「千秋楽まで一回一回の公演を大切に、丁寧に務めて参りたいと思います」などと誓っていた。

 最近では敵役もこなすようになった聖乃が、久々に得意とする“王道のイケメン”ぶりを発揮した。真っ白な軍服からシルクハットのスーツ姿など、数々の衣装も上品に着こなしスマートな所作も完璧。仲間の死で見せた涙や、絶望の淵で見せた表情など深い演技力でも引き込み、ともすれば嫌悪感を抱きそうな原作のストーリー展開も、その美しさと品格で客席の胸を締め付けるような傑作に仕上げた。

 花組はトップスター柚香光(ゆずか・れい)の同期で、組の中心メンバーだった水美舞斗(みなみ・まいと)が専科に異動し、次回の大劇場公演では体制も変わる。今後ますます楽しみな存在だ。 (土谷 美樹)

 ◇聖乃 あすか(せいの・あすか)1月19日生まれ、神奈川県出身。横浜市立庄戸中(現上郷中)を経て14年初舞台。花組配属。18年「ポーの一族」で新人公演主演。21年「PRINCE OF ROSES」でバウホール初主演。1メートル70。愛称「ほのか」。

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