月組・鳳月杏 入団17年、充実の時迎え“2つの顔”硬軟自在に演じ分け観客を魅了

[ 2022年12月10日 11:00 ]

華やかな舞台姿で客席を魅了した鳳月杏(左)。右は彩海せら
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 月組スター鳳月杏(ほうづき・あん)が2年ぶりに主演した「ELPIDIO(エルピディイオ)」が11日、大阪のシアター・ドラマシティで大千秋楽を迎える。

 舞台は植民地が次々に独立し、帝国の終焉(しゅうえん)を迎えたスペイン・マドリード。侯爵とうり二つの顔を持つ放浪の詩人・ロレンシオ(鳳月)が脅され、侯爵の“替え玉”となって奮闘するものの、侯爵の離婚寸前だった妻(彩みちる)に見破られ…という展開。コメディータッチの中にも社会性の高いメッセージが込められるなど、心に残る名作に仕上がった。

 鳳月は民衆に希望を注ぐ詩人と、高慢な成り上がり貴族という2役を熱演。芝居巧者らしく硬軟自在に“2つの顔”を演じわけ、細かな動きやセリフのやりとりで笑いを誘い、観客を引き込んだ。

 入団17年目。男役として充実の時を迎え、月組の若いトップスター・月城かなとを間近で支える心強い存在だ。どんな役も色濃くモノにする。先月21日にKAAT神奈川芸術劇場で開幕した同公演も大詰め。自身、2度目の外部劇場主演を経て、さらなる活躍が期待できそうだ。 (土谷 美樹)

 ◇鳳月 杏(ほうづき・あん)6月20日生まれ、千葉県出身。国府台女子学院中を経て06年初舞台。月組配属。14年、花組に組替えとなり、翌年「スターダム」でバウホール初主演。19年月組に組替え。身長1メートル72。愛称「ちなつ」。

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