雪組スター・和希そら 1年ぶり主演作で難役を細かくつくり上げ新境地を開拓

[ 2023年9月2日 11:00 ]

複雑な人物像を細かくつくり上げた和希そら(左)と、モニカ役の華純沙那
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 【Saturday宝塚】雪組スター、和希そらが1年ぶりに主演するミュージカル「双曲線上のカルテ」が大阪・梅田のシアター・ドラマシティで開幕した(5日まで。東京・日本青年館ホールは11~19日)。

 渡辺淳一氏の医療小説「無影燈」をベースに、物語の舞台をイタリアに移したミュージカルで2012年、後に雪組トップスターとなる早霧せいな主演で初演しヒットした。和希は凄腕の外科医ながらエリートコースを捨て“異端児”ともいえる影のある医師を熱演。ある秘密を抱えながら患者の幸せを第一に考え、ピュアなヒロイン・モニカ(華純沙那)との恋愛に純粋な心を取り戻すなど、複雑な人物像を丁寧につくり、最後は客席の涙を誘った。

 昨年の主演作「心中・恋の大和路」は、日本物の名作。近松門左衛門の「冥途の飛脚」で、恋のために死へと向かう若者を演じて客席を引き込み、今回はさらなる難役を細かくつくり上げ新境地を開拓した。

 低音を響かせる豊かな歌唱に高いダンス力、緩急利かせる芝居心と三拍子そろった中堅男役。今公演でも、クライマックスではだしで1人踊るシーンなど、ダンスでの表現力が抜群。今後も雪組を力強く支える存在だ。(土谷 美樹)

 ◇和希 そら(かずき・そら)10月5日生まれ、岡山県出身。岡山市立旭東中を経て10年、初舞台。宙組配属。14年「ベルサイユのばら―オスカル編」で新人公演初主演。21年12月、雪組に組替え。身長1メートル68。愛称「そら」。

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