【スポニチ潜入特別編 大阪桐蔭・前田悠伍】「体感150キロ」追求するドラ1候補 球質向上で進化期す

[ 2023年1月26日 09:00 ]

キャッチボールで調整する大阪桐蔭・前田 (撮影・後藤 大輝)
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 アマチュア野球企画「スポニチ潜入」特別編として、今秋ドラフト1位候補に挙がる大阪桐蔭・前田悠伍投手(17)の2023年始動に潜入。今年にかける意気込み、課題、目標などを聞いた。必勝祈願、今年初練習のもようはYouTube「スポニチドラフトチャンネル」において、動画でも公開する。

 1月5日、大阪・大東市内の野崎観音での必勝祈願を終え、学校グラウンドで今年初練習に臨んだ前田は「新たな気持ちで、この1年、悔いを残さないようにやっていきたいです」と決意を新たにした。そして改めて「チームとしてはまず選抜で日本一。個人としてはドラフト1位を目指したい」と、チームにとっての“元日”に一年の計を掲げた。

 1年秋の明治神宮大会、2年春の選抜、同秋の国体、明治神宮大会とすでに4度の“全国制覇”を経験。2年夏の時点で、甲子園大会を視察した阪神の畑山俊二統括スカウトから「2年生ながら、今年のドラフトでも1位候補に入るレベル。球速、変化球の精度ともに素晴らしい」と「1位候補」の言質も引き出した。その阪神などがドラフト1位候補としてリストアップする最速148キロ左腕だ。

 主将も務める名門の大黒柱は、現時点の強化ポイントに「真っすぐ」を掲げ、「スピードもそうですけど、質にこだわってやっていきたい」と続けた。とはいえ球速に興味がないわけではない。「もちろん150キロまで上げるのも一つ自分の目標としてあるし、150キロ以上投げるという思いも、ストレートの質(にこだわるの)と同じくらいの気持ちは持っています」と今年中の大台到達へ向け、言葉に力をこめる。

 ただし前田にとっての「150キロ」はスピードガンの数値だけではない。それが冒頭の「質にこだわって…」につながる。「150キロ投げられたとしても(球の)質が良くなければ150キロに感じない。(逆に)質が良ければ148キロでも150キロ以上に感じると思うので、そういったところを自分は目指してやっています」。追い求めるのは打者の「体感150キロ」。そのためにも、投球回転数や軌道、球持ちなどにこだわって球質向上を図り、最大の武器に磨きをかける算段だ。

 今年の個人的目標は「みんなから目標とされるような投手になること」、そして「誰にも負けない投手になること」。エース兼主将の目標はすなわちチームの全勝に直結する。昨秋の明治神宮大会を制し目下、全国1冠。今春選抜、夏の甲子園大会、秋の国体という残り3つの全国大会で頂点を勝ち取れば、あの「平成の怪物」ことエース・松坂大輔(元西武、レッドソックスなど)を擁した97~98年横浜に続く、同一年度の全国4冠達成の快挙に至る。

 阪神からポスティングシステムで大リーグのアスレチックスに移籍した藤浪晋太郎ら、多くの好投手をプロに送り出してきた名将・西谷浩一監督に「最終的に終わった時に(歴代)No.1と言えるようになる可能性は持っている投手」と言わしめる逸材。はるかな高みを見据え、今は黙々と汗を流す。(惟任 貴信)

 ◇前田 悠伍(まえだ・ゆうご)2005年(平17)8月4日生まれ、滋賀県長浜市出身の17歳。古保利小2年から高月野球スポーツ少年団で野球を始め、6年時にオリックスJr.選出。高月中では湖北ボーイズに所属。1年時にカル・リプケン12歳以下世界少年野球日本代表として世界一。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。2年時の春夏に甲子園出場で春優勝。同秋の明治神宮大会で2連覇。1メートル80、78キロ。左投げ左打ち。

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