エンゼルス・大谷の栄光への足跡 本拠スタジアムに刻まれた“Ohtani line”

[ 2022年10月7日 02:30 ]

大谷がいつも壁当てを行う場所では、芝生がスパイクによってえぐり取られている(写真中央部分)
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 エンゼルスの本拠エンゼルスタジアムの左中間フェンス。広告に挟まれたエ軍の「A」のマークに向かって芝生が一直線にはげている部分がある。長さ約2・5メートル。軸足となる右足で蹴り、左足で踏み込んで投げ込む。大谷がこの2年間、ぶれずに「同じ練習」を続け、飛躍につなげた証だ。

 きっかけは20年オフ。シアトル郊外のトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」を訪れたことから始まる。翌21年からキャッチボール前に「壁当て」を取り入れ、同施設考案のプライオボール(重さの違う6種類のボール)を投げ込んだ。大谷は「重さの違うボール、大きさの違うボールを投げることで、動きのセンス、うまさが出てくる」と効果を語った。壁に背中を向けて、腕をぶん回すようにして後方に投げる「リバース・スロー」など投げ方も6種類。敵地での登板のこの日もブルペン入り前に入念に行った。

 グラウンドキーパーはフェンス際のはげた部分を見つけては芝生の種をまき、目立たぬよう緑色のスプレーを散布する。今季開幕時には元通りの芝生に戻ったが、シーズンが終盤を迎えると、修復が追いつかなくなった。

 かつて巨人の桑田真澄がジャイアンツ球場の外野フェンス際を走り込んだことで、同様に芝がはげて「桑田ロード」と呼ばれたことは有名。太陽が照りつけるアナハイムには、栄光を地道に支えた「大谷ライン」がくっきりと残っている。(MLB担当・柳原 直之)

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