エンゼルス・大谷“究極”二刀流締め 近代野球初のダブル規定到達 最終戦を終え日本選手最高防御率

[ 2022年10月7日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス2ー3アスレチックス ( 2022年10月5日    オークランド )

<アスレチックス・エンゼルス>シーズン最終戦で力投する大谷(撮影・白鳥 佳樹)
Photo By スポニチ

 大リーグは5日(日本時間6日)、各地でレギュラーシーズン最終戦が行われ、エンゼルスの大谷翔平投手(28)はアスレチックス戦に「3番・投手兼DH」で先発した。右手中指のマメの影響で5回1失点で降板し、9敗目(15勝)を喫したが、あと1イニングに迫っていた自身初の規定投球回に到達。1900年以降の近代野球では初めて、規定投球回(162)と規定打席(502)にダブル到達する快挙を成し遂げた。

 昨季に続く歴史的なシーズンが完結した。1918年のベーブ・ルース以来、104年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」など、数々の偉業を残した大谷は「ほとんど前のことなので忘れてしまった」といたずらっぽく笑った。

 自身初の規定投球回到達まであと1イニングに迫っていた。初回3者凡退で到達すると、5回1死まで完全投球を披露した。四球、初安打から先制犠飛を許した直後に、右手中指マメの悪化を訴え、5回1失点で9敗目。規定打席は8月下旬に2年連続で達しており、「ダブル規定」到達を成し遂げた。「本来はこだわりはないけど、やってみないと分からない。それが分かったのは良かった」。今季は投手で45人、打者で130人がクリアしたが、重ねて到達したのはもちろん史上初めてだ。

 投手として進化した5年目だった。日本選手4人目のシーズン200奪三振(219)を達成し、奪三振率11.87はア・リーグトップ。防御率2.33はリーグ4位で、コロナ禍で短縮された20年を除けば95年野茂英雄(ドジャース)の同2.54を抜き日本選手歴代最高となった。昨季中盤からカットボールを軸球に加えたが、今季は右肘を下げてスライダーを横に大きく曲げるなど、変化を恐れなかった。後半戦はツーシーム、縦のスライダーも導入し幅を広げた。

 徹底した食事管理や睡眠時間の確保を含め健康体の維持が、完走に導いた。登板前日の4日は自ら超音波治療器を操作して10分以上、右肘をケア。欠場は昨季の4試合に続き、わずか5試合だった。

 MVP争いは、ア・リーグ新記録の62本塁打を放ったヤンキース・ジャッジが優勢。もっともサイ・ヤング賞でも上位争いが確実で、「MVP&サイ・ヤング賞」で“ダブル次点”の可能性もある。

 史上初のダブル規定到達は、大谷をもってしてもこれが最初で最後となる可能性すらある。終盤は規定投球回到達を優先に登板予定を立ててつかんだが、「安定して出ればどちらもいける範囲の数字とは認識したが、無理して狙うことではないというのが率直なところ」とも明かした。それ以上に求めるのは、しびれるような「10月の野球」だ。入団から5年連続でプレーオフ進出を逃し「全体的に良かったけど、今日で終わってしまうのは不本意」と素直な気持ちを吐露。「本来ならここからが本番、ぐらいの感じでいければ。それを目指して頑張る」と頂点への決意を強くした。(柳原 直之)

 《打席2年連続、投球回は初》大谷の規定打席到達は2年連続で、規定投球回到達は初めて。なお日本ハム時代には規定打席到達は一度もなく、最多打席は16年の382打席。規定投球回には14、15年の2度到達。15年は最多勝(15勝)、最優秀防御率(2.24)のタイトルを獲得した。

 ▽規定投球回と規定打席数 規定投球回はレギュラーシーズンのチーム試合数と同じ162イニングで、最優秀防御率のタイトルはこれをクリアした投手が対象。規定打席数はチーム試合数の3・1倍の502打席。首位打者は原則、規定に達した中で打率トップの選手が受賞する。大リーグで現行の規定ルールが定まったのは1950年代とされる。投手は先発と救援の分業が進み、規定投球回の到達者は減少傾向にある。

続きを表示

この記事のフォト

2022年10月7日のニュース