利根商・内田 上位指名ある最速149キロ&36発の“二刀流”

[ 2022年10月4日 06:30 ]

利根商・内田(撮影・高橋 雄二)
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 【菊地選手ドラフト「隠し玉」発掘】今年のドラフトは、この選手にも注目――。「10・20」運命の日を待つのは、上位指名候補選手ばかりではない。中央球界では無名ながら、その素質と将来性でNPB入りを狙うことができる「金の卵」が全国には多く存在する。フリーライターの菊地選手(40)が全国を駆け回り“発掘”した「隠し玉」を紹介する。

 こんな大器が隠れているのだから、ドラフト候補発掘はやめられない。群馬の奥地に怪童が潜んでいると噂に聞いていたが、実際に見に行くと評判以上だった。

 投げては最速149キロ、打っては高校通算36本塁打。ただ馬力があるだけでなく、全般的に運動能力が高い。公式戦で投手をしない時は一塁手で出場していたが、ノック時の身のこなしやグラブさばきを見る限り、プロで三塁や外野をこなせる素養は十分にある。本人はプロでの二刀流を希望しているものの、プロ側は内野手として高く評価しているようだ。

 右打ちの内野手はプロ側の需要が高い。同じ高校生では内藤鵬(日本航空石川)が注目されているが、総合的な潜在能力がある内田湘を買うスカウトもいるはずだ。現段階で全国的な知名度はないが、ドラフト上位指名の可能性すら感じる。西毛ボーイズに所属した中学時代は控えクラス。「この筋肉を鍛えると野球にどんな効果があるか?」と考えながらトレーニングに励み、地道に能力アップしてきた。高校生にありがちなポテンシャルに任せてプレーするタイプではなく、高い思考力も隠れた財産だ。

 双子の兄・耀晴はチームメートで、高校では背番号17の控え選手だった。中学時代に県選抜メンバーだった兄を超えるために積んだ猛烈な努力が、湘大が高校で開花するきっかけになった。なお、5歳下の弟妹(凰貴くん、茉鈴さん)まで双子という、世にも珍しい「ツイン・ツーペア」。そんな家族構成もいずれ話題を呼ぶに違いない。

 取材時、北毛の地に半袖で降り立った無知な私に「よかったら着てください」と自身のウインドブレーカーを差し出した気配りに衝撃を覚えた。初対面の中年男に向かってできることではないだろう。一生応援しようと心に決めた。

 ◇内田 湘大(うちだ・しょうだい)2004年(平16)9月22日生まれ、長野県出身の18歳。小海中時代は「西毛ボーイズ」に所属。利根商では1年夏からベンチ入りし、一塁手兼投手としてプレー。今夏は群馬大会4強入りし、甲子園出場はなし。投手では最速149キロ。1メートル83、84キロ。右投げ右打ち。

 ◇菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。野球部員の生態を分析する「野球部研究家」としても活動しつつ、さまざまな媒体で選手視点からの記事を寄稿している。著書にあるある本の元祖「野球部あるある」(集英社)などがある。ツイッターアカウント:@kikuchiplayer

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