エンゼルス・大谷 打球直撃も痛み乗り越え日米通算1000奪三振 打ってはイチ超えメジャー118号

[ 2022年8月11日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5ー1アスレチックス ( 2022年8月9日    オークランド )

<アスレチックス・エンゼルス>6回無失点の投球で2桁勝利&2桁本塁打を達成したエンゼルス・大谷(撮影・大森 寛明)
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 エンゼルス・大谷は痛みを乗り越え、勝利をつかんだ。3回2死一、三塁。2番ラウレアーノのライナー性の打球が左足首付近を直撃した。跳ね返った打球を自ら処理して投ゴロに仕留めたが「けっこうまともに当たっていた」。足を引きずってベンチに戻り、表情をゆがめた。

 7月下旬から右太腿への自打球、右腕のけいれんなどアクシデントが続き、7日には相手投手に左足甲を踏まれた。イニング間にダッシュを繰り返し動きを確認し、検査でも問題ないことから4回に再びマウンドに上がり「(続投は)しんどいかなと思ったけど、集中して、なるべく多く投げられた」。全投球の40%を占める36球を投じたスライダーと宝刀スプリットの切れは抜群。3回は先頭打者のブライドから空振り三振を奪い日米通算1000奪三振を達成。6回4安打無失点。メジャー自己最多10勝目をつかんだ。

 打席でも歴史に名を刻んだ。4―0の7回。左腕セルマンのスライダーを捉え、角度24度の低い弾道が右翼フェンスを越えた。松井秀喜の175本に次ぎ、並んでいたイチローを超える118本塁打で日本選手単独2位となり「タイプ的に違いはあると思うが、そういう選手の一部の記録を超えられたことは光栄」と素直に喜んだ。

 直後の攻守交代では2番手投手がブルペンで準備不足と確認するやいなや、マウンドに一度向かい、フィル・ネビン監督代行に止められて下がった。うまく時間を稼ぎ、同監督代行は「チームメートを守った行為だった」と説明。大谷の隠れたファインプレーに応えるように、救援陣も1失点で勝利につなげた。

 登板試合で自ら本塁打を打ち勝利投手となるのは、6月9日のレッドソックス戦以来、自身3度目。この日は5奪三振ながら、早くも昨季を超えるキャリアハイのシーズン157三振に到達した。

 「投球はイニングを投げて、低いWHIP(1イニング当たりに許した走者数)で抑えていくことが勝ちにつながる要素。打席はOPS(出塁率+長打率)が大事。そういう総合的なところで、集中してもっと上げられたら」

 野球の神様は乗り越えられる試練しか与えない――。投打でアクシデントをはね返し、金字塔を打ち立てた。(柳原 直之)

 ≪大リーグ「100人斬り」達成≫大谷の25号は、日本人大リーガーの通算700号という節目の一発となった。第1号はドジャース・野茂英雄で、98年4月28日のブルワーズ戦に先発登板し、7回の打席で左越えソロを放った。また、大谷が本塁打を放った投手はこの日のセルマンで通算100人目となり、大リーグにおいて「100人斬り」を達成した。1号は18年4月3日のインディアンス戦でトムリンから。最も多く本塁打しているのはベリオス(ブルージェイズ)とモンタス(ヤンキース)で3本。2本は菊池(ブルージェイズ)ら14人。なお175本の松井秀喜は140投手から、117本のイチローは93投手から本塁打した。

 ≪自身3度目の白星&本塁打≫スポーツ専門局ESPNによると、投手として6回以上を無失点に抑え、その試合で本塁打を放つのは、ア・リーグでは1972年8月9日のデーブ・マクナリー(オリオールズ)以来だという。ちょうど50年前の同じ日付だった。マクナリーはブルワーズ戦で4安打完封で11勝目を挙げ、打っては3回に先制2ラン、6回は押し出し四球で3打点を挙げた。このシーズンを最後に、翌73年からア・リーグはDHを採用した。また大谷が登板時に本塁打したのはこの日で5度目で、結果は3勝2敗となった。

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2022年8月11日のニュース