米記者が分析する投手・大谷 球速増した「スイーパー」はMLBでもベスト

[ 2022年8月11日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5ー1アスレチックス ( 2022年8月9日    オークランド )

<アスレチックス・エンゼルス>3回、大谷はブライドを空振り三振に仕留め日米通算1000奪三振を達成(撮影・大森 寛明)
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 【「ジ・アスレチック」エノ・サリス記者】エンゼルス・大谷の投手としての今季の飛躍は、何より球速が増したことが大きい。直球の平均球速97.3マイル(約157キロ)は昨年比で2マイル(約3.2キロ)も速くなり、今では大リーグの先発投手でベスト5に入る。

 注目すべきは直球だけでなく、スライダーの球速も平均85マイル(約137キロ)までアップしていること。スライダーの横への変化量はリーグトップ10に入る。その中に大谷と同程度の球速で投げられている投手はいない。いわゆる「スイーパー」と呼ばれる横に動くスライダーは現在のトレンドだが、高速で横変化量に富む大谷のスイーパーは大リーグでもベストかもしれない。

 最高級のコマンド(制球力)を持つとは思わない。彼の投球は最高の球をストライクゾーンに投げ、打者にスイングさせるというもの。威力があるため、コースを間違えても致命傷になりにくい。

 最近はシンカー(ツーシーム)も投げていて、100マイル(約161キロ)のシンカーは印象に残った。まるでアルカンタラ(マーリンズ)のようだった。アルカンタラのシンカーは恐らく大リーグ最高だろう。大谷の直球の横の動きは1インチ(約2.5センチ)ほどだが、シンカーは10~11インチ(約28センチ)と大きな差がある。もしも大谷がアルカンタラと同等のシンカーを確立し、スイーパーと、上質なスプリットとコンビネーションで使うようになったら、さらに進化する可能性も秘めている。

 今季は最終的に15勝前後し、サイ・ヤング賞争いもトップ3かトップ5に入る候補と思う。ただ、他の候補はイニング数で大谷を大きく上回っている。この差は大きい。バーランダー(アストロズ)、マクラナハン(レイズ)、シース(ホワイトソックス)ら他のエースが数字を落とすことが必要条件になる。

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2022年8月11日のニュース