阪神・狩野 9回代打タイムリー&10回ダメ押しタイムリー

[ 2016年8月5日 05:30 ]

<D・神>延長10回2死満塁、中前適時打を放った阪神・狩野

セ・リーグ 阪神7―5DeNA

(8月4日 横浜)
 切り札らしい、満点の仕事ぶりだった。9回1死二、三塁から代打で登場した阪神・狩野が、2打席連続のタイムリー。チームを勝利に導いた。

 「昨日(3日)は山崎康くんの前で三振したので、どうにか打ってやろうと思いました。キレイなヒットが良いんですけど、(試合に)出るときはああいうヒットでもいいと思ってるんで」

 重圧がのしかかる場面でも、頭は冷静だった。山崎康の初球ツーシームに、フルスイング。遊撃・倉本が横っ飛びで好捕したものの内野安打となり1点差に迫る。前日3日の対戦で3球三振を喫した雪辱を見事に晴らした。「ちょっとボールを見過ぎてしまっていた。初球からいくつもりだった」。万全の準備が、反撃の一打を呼んだ。

 「最後はバットを短く持ちました」

 貴重な追加点もまた、狩野のバットから生まれた。10回、6―5と勝ち越してなおも2死満塁。ザガースキーに2球で追い込まれたが、すぐさま打席内で切り替えた。わずかに指1本分、グリップを余して3球目を待つ。外角へ沈む変化球だったが、その意識が白球を中前へと運んで7点目。1安打3四球でつないだ全員攻撃を完結させた。

 “超変革”を力に変えた。前日3日に先発復帰を果たしたが、鳥谷が7月24日の広島戦から8試合連続でベンチスタート。これまでにはなかったことだが、狩野は試合序盤から鳥谷と並んで戦況を見つめ続けた。

 「お互いに配球を読んだり、投手のクセを言い合ったり。鳥谷さんの読みとかも聞けて、勉強になりました」

 一瞬たりともムダにはしない。鳥谷の考えを知り、また一つ選手として成長できた。そんなたゆまぬ努力、向上心が背番号99を支えている。

 「いまチームが良い状態なので。これを続けていけばもっともっと勝てると思います」
 そう、狩野が知る阪神は、常に優勝争いをしてきた。まだ8月上旬。一つ一つの積み重ねが苦境を打開することを知っている。
 (森田 尚忠)

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