菊池にリベンジ!今宮 153キロで逆転勝利呼んだ

[ 2009年8月21日 06:00 ]

<明豊・常葉橘>9回無死三塁、今宮は同点となる右前タイムリーを放ち、吠えながら一塁に向かう

 【明豊(大分)8―6常葉学園橘(静岡)】バッテリー間18・44メートルは2人だけの空間だった。1点をリードされた9回無死三塁。明豊の今宮は「直球で押してくると思っていた」と集中力を高めた。常葉学園橘の庄司も逃げる気はなかった。球速は145キロ、146キロ、147キロと上がる。そしてオール直球勝負の6球目。146キロを右前にはじき返し、土壇場で同点に追いついた。

 息を吹き返した明豊は延長12回に2点を勝ち越し、8年ぶりの8強進出。ゲームセットの瞬間、今宮は二塁走者だった庄司にマウンド付近で「直球勝負してくれてありがとう。楽しい対決だった」と声をかけた。試合後の整列でも固く握手。庄司からは打撃用手袋をプレゼントされた。激闘を戦い抜いた2人には、勝者と敗者を超えた熱い友情が芽生えていた。
 高校通算62本塁打の強打者は、投手としても甲子園の観衆を魅了した。2―4とリードされた3回途中に遊撃からマウンドへ上がり、150キロ台の直球を連発する。4回1死二、三塁では、その庄司に対し自己最速となる153キロを記録。差し込まれた打球は高いバウンドで三塁手の頭を越え2点適時打となったが「最高のボールだった」と相手を称賛した。延長10回まで7回2/3を2失点。試合の流れを変えたのは「投手・今宮」だった。
 21日の準々決勝の相手は、今春センバツの2回戦で敗れた花巻東に決まった。大分大会から「打倒・菊池」だけを頭に描いていた今宮は言った。「センバツはチャンスで打てなかった。成長した姿を見せたい」。リベンジの舞台は整った。

 ≪常葉学園橘 庄司終戦も「甲子園は最高だった」≫211球を投げ抜いた常葉学園橘・庄司に涙はなかった。9回、直球勝負を挑んだ場面を問われると「前の打席で変化球を左中間(二塁打)に打たれていたので。悔いを残したくなかった」と答えた。今宮への147キロは自己最速タイだった。球速が出にくいとされる軟式で中学時代、全国大会で144キロを出し、注目を浴びた右腕。入学後もすぐに主力となったが、静岡大会をなかなか勝ち抜けずに苦しんだ。最後の夏にようやくつかんだ甲子園で初戦の完封を含め、3試合をすべて完投した。「甲子園のマウンドは最高だった。自分のボールを信じて投げ抜いた」と満足感を漂わせた。

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2009年8月21日のニュース