「雄星だけのチームじゃない」菊池降板で燃えた花巻東

[ 2009年8月21日 17:41 ]

 【花巻東7-6明豊】主将の川村が今宮の145キロの直球を、中前にはじき返した。二塁走者が生還。菊池雄がベンチ前に飛び出し、腕を突き上げて叫ぶ。延長十回に花巻東が勝ち越しの1点をもぎとった。「雄星(菊池)だけで勝っているチームじゃない」。川村の意地の一打だった。

 絶対的なエース、菊池雄が五回途中でマウンドから消えた。大会前からの背中の痛みが悪化。三塁手の猿川に後を託して左翼に回ったが、六回の打席で代打を送られた。頼みの猿川も八回に逆転を許した。
 伝令役に回った菊池雄はピンチの場面で「もう1試合投げさせてくれ」と声をかけていた。「野手の力で勝とう」と気勢を上げる主将に、野手陣が反応していく。2点を追う九回だった。先頭の川村から連打と盗塁で無死二、三塁。菊池雄に「2年半やってきたことをすべて出せ」と送り出された横倉が中前に運んで、土壇場で試合を振り出しに戻した。
 選抜大会で準優勝した後、覇気を失ったチームに佐々木監督が厳しい言葉を投げかけた。「どうせおまえらは雄星のチームだろ」。春季東北大会に初戦敗退したことで、勝利への貪欲さがよみがえったという。追い詰められた状況での驚異的な粘りに、監督は「勝ちに対して執念を持ち続けた結果だ」とたたえた。
 ただエースの状態は心配だ。菊池雄は「あと2試合なんで、壊れても投げるしかない」と悲壮な覚悟を口にする。2日後の準決勝。左腕はともに戦うことができるだろうか。

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2009年8月21日のニュース