【スノーボード】青野令氏展望 男子HP歴代最強カルテット、あるぞ五輪表彰台独占

[ 2026年2月1日 05:30 ]

平野歩夢の高さとクリーンな滑り
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 スノーボード男子ハーフパイプ(HP)の日本代表は、2連覇の懸かる平野歩夢(27=TOKIOインカラミ)を筆頭に歴代最強カルテットで五輪に臨む。選手で2度、コーチで2度の計4度の五輪経験を持ち、今大会はスポニチで解説を務める青野令氏(35)が4人の特長、72年札幌大会の「日の丸飛行隊」以来の表彰台独占の可能性を探った。(取材・構成 阿部 令)

 22年北京五輪以降のW杯19大会で計12勝(勝率63%)、表彰台29回(確保率51%)。五輪代表の平野歩夢、平野流佳、戸塚優斗、山田琉聖の4人は、この圧倒的な数字を積み上げてきた。1月のW杯第5戦で転倒負傷した歩夢の回復状況は気がかりだが、表彰台独占の期待を抱かせる根拠は数字にも表れている。

 特に山田以外の3人は実績、経験とも申し分ない。では青野氏が分析するそれぞれの持ち味は何か。

 「歩夢の特長は高さとクリーンな滑り。点数が付くというより、減点どころがない。ハーフパイプはリップ・トゥー・リップ(壁の縁から飛び、縁に着地する)が原点で、これができるから最後の技まで高さが持続できる。流佳は表現力が多彩で、いち早くスイッチスタンスに取り組んでおり、最近は技の高さも上がった。優斗は体の使い方がうまく、何でもできる器用さがある。今は勢いと自信にも満ちている」

 北京では歩夢が斜め軸に縦3回転、横4回転する大技トリプルコーク(TC)1440に唯一成功。高回転トリック時代の扉を開くと、今季は流佳がTC1440のコンボ(連続技)、戸塚は横に半回転加えたダブルコーク(DC)1620を実戦で成功させた。4年が経過し、TC1440はメダル獲得の必須条件と言えるほど、男子のレベルは上がっている。

 その中でメダルの色を分けるポイントは?

 「ハーフパイプは技をつなぐことが一番の醍醐味(だいごみ)。バックサイドからスイッチバックにつなぐとか、スイッチからバックサイドにつなげられれば高得点になる。高難度の技をスピードがある1発目ではなく、3発目、4発目に入れることも重要なポイントとなる」

 4つの回転方向があるスノーボードでは、一般的に(1)スイッチバック(逆スタンスで背中側)、(2)バックサイド(正スタンスで背中側)、(3)キャブ(逆スタンスでおなか側)、(4)フロントサイド(正スタンスでおなか側)の順に難度が高いと言われる。従って同じ回転数でも回転方向の違いや、つなぎの技の回転方向よって得点に差が生じる。同じTC1440でも回転方向や何発目に出すかが、メダルの色を分けるとの見立てだ。

 そうした高回転トリック時代にあらがい、異端のスタイルで今季躍進したのが山田だ。前方回転や山側に回る技を組み込んだ独創性あふれるルーティンで、昨年12月のW杯第2戦で初優勝。ダークホースの一言で片付けられない実力を備えてきた。

 「琉聖は日本人離れした見せ方ができるのが強み。審判も人間。人と違う滑りをした選手の方が記憶に残る。ジャッジを悩ませる滑りをできる」

 4人それぞれが実力を発揮すれば、青野氏は「忖度(そんたく)なしにメダル独占はあると思う」と断言する。もちろん海外勢も今季は急激にコンディションを上げており、中でも北京五輪銀メダルのスコット・ジェームズ(オーストラリア)は1月のW杯第5戦、冬季Xゲームを連勝。XゲームではスイッチバックDC1440→バックサイドDC1440という連続技に成功しており、「まだ技を隠し持っているかもしれない」と警戒は解いていない。

 五輪は選手個人だけではなく、コーチ、スタッフを含めた日本代表の戦いでもある。青野氏はコーチ経験も豊富。「予選と決勝で、ジャッジの傾向が変わるのはよくあること。(試技3回の)決勝の1回目で、コーチがいかに早く気づけるかが大事になる」と分析した。海外の強豪を破ってのメダル独占へ、コーチ、スタッフのサポートも重要になりそうだ。

 《女子も歴代最強》日本女子も清水さらを筆頭に、同じ16歳の工藤璃星(ともにTOKIOインカラミ)、北京五輪銅メダルの冨田せな(宇佐美SC)、W杯種目別優勝2度の小野光希(バートン)と歴代最強メンバーがそろった。北京五輪では女子担当コーチを務めた青野氏は、「せなはやる時はやる選手。光希は負けず嫌い。工藤は女子には他にいないグラブの見せ方やスタイルが秀でている。清水はダブル(DC1080)―ダブルを入れるのではないか」と期待。「歴史を塗り替えるような瞬間を見られるのではないか」と男子同様の活躍を予想した。

 ◇青野 令(あおの・りょう)1990年(平2)5月15日生まれ、愛媛県出身の35歳。松山城南高―日体大。現役時代は09年世界選手権を日本人スノーボーダーとして初優勝。W杯通算12勝、10年バンクーバー、14年ソチ五輪代表。17年8月に第一線を退き、18年平昌、22年北京五輪は日本代表コーチを務めた。1メートル66。

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