藤波朱理 119連勝で完全V2 19歳で吉田沙保里に並んだ

[ 2023年4月13日 04:45 ]

レスリング アジア選手権第4日 ( 2023年4月12日    カザフスタン・アスタナ )

藤波朱理
Photo By スポニチ

 女子5階級が行われ、53キロ級で21年世界選手権金メダルの藤波朱理(19=日体大)が全3試合を無失点でテクニカルフォール勝ちして2連覇。中2だった17年9月から続く公式戦連勝を119に伸ばし、五輪3連覇の吉田沙保里が持つ記録に並んだ。今後はメダル獲得で来年のパリ五輪代表に内定する9月の世界選手権(ベオグラード)代表権を懸け、明治杯全日本選抜選手権(6月15~18日、東京体育館)に出場する。

 パリ五輪を目指すレスリング界の新星が、偉大な記録に肩を並べた。初戦の準々決勝で台湾選手を11―0、続く準決勝では東京五輪銅メダルのバトオチル(モンゴル)を10―0で圧倒した藤波は、決勝で昨年のU20世界女王のアンティム(インド)と対戦。序盤から背中を取ってポイントを重ね、第1ピリオド2分49秒で10―0としてテクニカルフォール。足かけ7年で金字塔を打ち立てた。

 長い手足とスピードを生かした片足タックルを武器に、東京五輪後に行われた21年10月の世界選手権で初出場初優勝。しかし2連覇を期した昨年は左足リスフランじん帯損傷のために欠場を余儀なくされるなど、ケガに泣く一年となった。復活を期す今年は2、3月に続く国際大会出場で、体調も万全。今大会も圧倒的な強さを示し、119連勝と同時に無失点記録も29試合に伸ばした。

 記録を更新するたび「連勝は過去のこと」と未来に目を向けるが、同郷の吉田は「小さな時からの憧れの選手」だ。大先輩の119連勝は04年アテネ五輪と5度の世界選手権制覇が含まれ、中身は比較できないが、レスリング界が待ち望んだ次代のスター候補生が藤波。「自分から攻めてポイントを取りにいくところは似ていると思う」と攻撃的なスタイルも霊長類最強女子をほうふつさせる。

 “沙保里超え”を目指す次戦は、世界選手権行きの切符を懸けた明治杯。昨年12月の全日本選手権では対戦が実現しなかった東京五輪女王の志土地真優らライバルを倒し、パリ五輪へまた一歩前進する。

 ◇藤波 朱理(ふじなみ・あかり)2003年(平15)11月11日生まれ、三重県出身の19歳。父・俊一氏(現日体大コーチ)の影響で4歳から競技を開始。三重・いなべ総合学園高―日体大。中2の全国大会決勝で敗戦後から白星を重ね、現在119連勝。21年世界選手権で初出場初優勝。1メートル64。家族は両親と17年世界選手権男子フリースタイル70キロ級銅メダルの勇飛。趣味は大食い動画を見ること。

 《伊調馨は189連勝》▽レスリングの連勝記録 吉田沙保里は01年全日本女子選手権準決勝で山本聖子に敗戦後、同大会の3位決定戦で伊調馨に勝ってから連勝スタート。08年1月にW杯団体戦で米国のバンデュセンに敗れるまで119連勝。個人戦に限れば16年リオ五輪決勝でマルーリス(米国)に敗れるまで206連勝を記録した。伊調馨は03年3月のクリッパン国際大会3回戦から連勝を続け、07年5月のアジア選手権での不戦敗を除けば、16年1月のヤリギン国際大会決勝でプレブドルジ(モンゴル)に敗れるまで189連勝を達成した。

続きを表示

この記事のフォト

2023年4月13日のニュース