報徳学園3冠のキーマン SO伊藤に宿る日本代表のDNA 「ビッグインパクト」花園にとどろかせる

[ 2022年12月22日 09:00 ]

27日開幕高校ラグビー特集

報徳学園をけん引する伊藤利江人
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 第102回全国高校ラグビー大会は27日に東大阪市の花園ラグビー場で開幕する。Aシードの報徳学園(兵庫)は、30日の2回戦で倉吉東(鳥取)―高鍋(宮崎)の勝者と対戦する。SO伊藤利江人(3年)ら高校日本代表候補8人を擁し、今春の選抜大会と今夏の7人制大会を制覇。史上4校目の高校3冠を目指す。全国的にも極めて珍しい女性指揮官が率いる常翔学園(大阪第1)など今大会に出場する注目校を紹介する。

 1年生から報徳学園の司令塔を務める伊藤が、3冠奪取のキーマンだ。バックス陣を束ねる背番号10は「強みは、ステップとチャンスをつくるところ。そこを最大限に発揮できるようにしたい」と言葉に力を込めた。

 父の宏明さん(47)は大工大高(現常翔学園)から明大に進み、トップリーグやイタリアなどでもプレーした元日本代表SO。現在は明大でヘッドコーチを務める。世田谷区立千歳中でラグビーをしていた利江人は、中学2年の夏に報徳学園の練習に参加し、魅了されたという。「自由な形で、練習に入った時に楽しかった」。同じ中学に在籍したWTB海老沢らとともに、関西へのラグビー留学を決めた。

 現在は学校近くに家を借り、母、そして海老沢と3人で共同生活を送っている。充実した環境で日々を過ごし、プレー面での成長だけでなく、体重も10キロ増えて73キロとたくましくなった。自身を含めて8人の高校日本代表候補を抱えるチームにあって、SH村田とアタックを仕切る。

 「報徳にはランナーが多いので、ランニングでアタックを継続したい。ディフェンスの人数が多かったら走れないので、どう相手を少なくし、良い形で味方へとボールを渡すかを心がけている」

 春の選抜大会、夏の7人制大会を制し、高校3冠に王手をかけている。関西学院との決勝で追い込まれたように、史上4校目となる偉業は一筋縄でいかないことは分かっていても、ぶれることなく目標に掲げてきた。

 「僕たちにとって、何かあった時の合言葉がいつも“3冠”だった。その言葉で一つの方向に向かってきたし、達成したい」

 今季掲げたチームスローガンは「ビッグインパクト」。ボールを大きく動かすラグビーで、その名を花園にとどろかせる。 (西海 康平)

 ◇伊藤 利江人(いとう・りえと)2004年(平16)7月30日生まれ、東京都出身の18歳。6歳でラグビーを始め、世田谷区立千歳中から報徳学園に進学。花園には1年生から出場し、1年時は1回戦敗退。2年時は16強入り。1メートル70、73キロ。高校日本代表候補。SO。名前のりえとは、イタリア語で幸せなどの意味。

 ▽高校3冠 冬の全国大会、春の選抜大会に加え、東京五輪強化を目的に14年から始まった夏の7人制大会の3タイトル制覇を指す。東福岡は14年度と16年度に達成。15年度は東海大大阪仰星が、19年度は桐蔭学園が達成している。

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2022年12月22日のニュース