豊昇龍 幕内10年ぶり珍決まり手「かわず掛け」で1敗死守「狙ったわけじゃない」

[ 2022年11月18日 04:45 ]

大相撲九州場所5日目 ( 2022年11月17日    福岡国際センター )

豊昇龍(右)がかわず掛けで翠富士を下す
Photo By 共同

 関脇・豊昇龍が翠富士をかわず掛けで下した。幕内では10年ぶりに出現した珍しい決まり手で1敗を守った。10勝すれば大関に復帰できる御嶽海は新小結・翔猿を突き落とし、4勝目を挙げた。大関・貴景勝は逸ノ城を押し出して連敗を2で止め、3勝目。1敗は豊昇龍、御嶽海のほか平幕・高安ら計8人となった。

 勝利に貪欲な素顔が、取組後の会見に表れた。かわず掛けを知っていたか問われた豊昇龍は「知らない」と即答。名前を聞いても「珍しい技という感覚はなかった。狙ったわけじゃない。勝ったからよかった」。幕内では12年春場所5日目、隆の山が勢(現・春日山親方)に決めて以来だが、勝てば何でもいいと言わんばかりだった。

 技への知識はなくても、土俵で見せた運動神経は雄弁だった。過去4戦全敗の翠富士戦。立ってすぐ、右上手を狙いにいった立ち合いに必死さが表れた。すぐさま投げを打つこと2度。直後、タイミングを計ったかのように切り返しにきた翠富士の左足を、さらに右足先から絡めてそり返した。加えて驚くべきは、攻めの起点にした右上手を落ちる瞬間、手放したこと。つかんだまま落ちたら先に土俵についていた。

 昨年秋場所9日目では若隆景を一本背負いで倒した。豪快でスピード感にあふれ、さらに多彩。おじが元横綱・朝青龍という血筋が裏付ける運動神経を発揮し始めている。

 「関脇が強い場所は面白い」。俗言が示すように一人横綱不在、両大関出遅れの1年納めの場所を3関脇が支える。1敗を守った豊昇龍、御嶽海に加え、2敗・若隆景は宇良を押し出し、今年52勝目と年間最多勝へひた走る。新たな主役を迎えようと、地殻変動が進む角界を目の当たりにしている。

続きを表示

この記事のフォト

2022年11月18日のニュース