一二三 五輪王者の金ゼッケンで貫録V 1年ぶり国際大会も5試合中4試合一本勝ち

[ 2022年7月10日 05:10 ]

柔道 グランドスラム・ハンガリー大会第1日 ( 2022年7月8日    ブダペスト )

男子66キロ級決勝で相手に技をかける阿部一二三(国際柔道連盟提供)
Photo By 共同

 男女計5階級が行われ、男子66キロ級で東京五輪金メダルの阿部一二三(24)、女子48キロ級で同五輪2位の渡名喜風南(26=ともにパーク24)、女子57キロ級の舟久保遥香(23=三井住友海上)が優勝した。阿部と渡名喜は昨夏の五輪以来となる約1年ぶりの国際大会。阿部は5試合で快勝。ウズベキスタン選手との決勝は合わせ技で一本勝ちした。

 盤石の戦いで、約1年ぶりの国際大会を制した。男子66キロ級の阿部は5試合のうち4試合で技による一本勝ち。危ない場面は皆無で、五輪金メダリストの実力を改めて世界に知らしめた。「負けられない」との自負を力に変え、2連覇を目指す2年後のパリ五輪へ力強く滑り出した。

 強靱(きょうじん)な体幹を生かした豪快な技は健在。一方で組み合ってこない相手には、強引にでも技を仕掛けて指導を引き出すなど戦術眼も光った。決勝は片手での袖釣り込み腰で派手に優勝を決め、涼しげに笑う。拳を握る姿には貫禄が漂った。

 パリ五輪出場権獲得の基準となる世界ランキングのポイント対象期間は先月下旬にスタート。開催国枠があった東京五輪と違い、自力で切符をつかむ必要がある。海外勢はここからギアを上げてくるだけに、気の抜けない戦いは続く。

 五輪覇者に与えられる金色のゼッケンを背負い「特別感があり、気持ちが高まる」。注目度が増すほど燃える性格は相変わらずだ。24歳の王者は約3カ月後の世界選手権をにらみ、18年以来3度目の頂点へと突き進む。

 《女子48キロ級・渡名喜 オール一本で優勝》女子48キロ級の渡名喜は久々の国際大会でも落ち着いていた。得意の足技を軸に進境著しい接近戦で力を発揮。相手の隙を見逃さず寝技で仕留める堅実さも見せた。全4試合で一本勝ち。決勝は昨年世界選手権3位のフリア・フィゲロア(スペイン)を崩れけさ固めで退けた。強豪の出場は少なかったが「今の自分がどのくらい海外選手と戦えるのか知りたい」と臨んだ大会で、高い実力を示した。初優勝した17年以来2度目の制覇を狙う世界選手権へ期待を高めた。

 《女子57キロ級・舟久保 強豪連破で制覇》女子57キロ級の舟久保は準々決勝で昨年世界一のジェシカ・クリムカイト(カナダ)、決勝では16年リオ五輪女王のラファエラ・シルバ(ブラジル)と強豪を相次いで撃破。内容も伴った価値ある優勝となった。23歳のホープはこれで昨秋からグランドスラム大会を3連続制覇。日本女子の増地監督は「今非常に勢いのある状態だ」と成長ぶりに目を見張る。初めて挑む10月の世界選手権での活躍をイメージさせる戦いぶりだった。

続きを表示

2022年7月10日のニュース