内村航平「幸せな体操人生を歩ませていただいた」 最後までKING!引退演技会でこだわりの6種目完遂

[ 2022年3月13日 05:30 ]

体操・KOHEI UCHIMURA THE FINAL ( 2022年3月12日    東京体育館 )

鉄棒の演技を行う内村 (撮影・西川祐介)
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 男子個人総合で五輪連覇を果たすなど、キングとして君臨した内村航平(33=ジョイカル)が、約30年の競技人生に別れを告げた。自身の名を冠した前例のない引退演技会で、個人総合と同じ6種目を完遂。16年リオデジャネイロ、昨夏の東京五輪代表も内村のために集結し、約6500人の観衆が惜別の演技を見守った。

 戦友が、ファンが、内村の一挙一動に目を凝らした。3歳から始まった、30年の競技生活を締めくくる舞台。最終種目の鉄棒はH難度「ブレトシュナイダー」をキャッチしながら、着地を止めきれなかった。苦笑いを浮かべたキングは胴上げで6度宙を舞った後、場内でのスピーチに実感を込めた。

 「今日、そして、これまで応援してくださった皆さん、本当に本当に、ありがとうございました。幸せな体操人生を歩ませていただいた」

 1月に現役引退を表明してから約2カ月。花道を彩るため、リオ五輪でともに団体を制したメンバーと東京五輪代表が集結した。客席と器具の距離が近く、世界大会に匹敵するド派手な演出の中、内村はこだわってきた個人総合と同じ6種目にアタック。床運動は3回ひねりの着地をピタリと止め、つり輪は両肩痛に耐えた。演技後は全身が筋肉痛に。最後に知ったのは、体操の難しさだった。

 「(自己採点は)60点。練習でうまくやっていても、本番でうまく見せられない。だから“THE FINAL”なんだなって」

 今後は普及活動に力を入れるだけでなく、自らの体を使って体操を研究していく。「やってみたい技のリストがある」。鉄棒のI難度「ミヤチ」のほか、これまで習得していなかった技に取り組み、それを披露するような場も描いている。

 「ここで終わりじゃない。新しい一歩を踏み出すという意味で、凄く前を向いている」

 可能性に満ちた美しい航海が今、始まった。

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