冨田せな銅!HP日本女子初メダル 大ケガ負った会場で恐怖心に打ち勝ち攻めた!

[ 2022年2月11日 05:30 ]

北京冬季五輪第7日・スノーボード女子ハーフパイプ ( 2022年2月10日    雲頂スキー 公園 )

スノーボード女子ハーフパイプ決勝でエアを決める冨田せな(ロイター)

 女子決勝が行われ、冨田せな(22=アルビレックス新潟)が88・25点をマークし銅メダルを獲得した。98年長野大会で初採用されたハーフパイプ(HP)で、日本の女子がメダルを獲得するのは史上初。初出場の妹るき(20=チームJWSC)は5位に入り、姉妹同時入賞の快挙も達成した。小野光希(17=バートン)は9位だった。

 恐怖心を乗り越え、夢心地の表彰台にたどり着いた。「うれしいのと同時に、正直凄く驚き」。高校生だった4年前は8位だった冨田せが、同種目日本女子初メダルを獲得。「夢を見ているみたい」と実感は湧いてこなかったが、「4年間頑張ってきて良かった」と自分を褒め、涙した。

 19年12月、同じ会場で行われたW杯の練習中に転倒し、脳挫傷を負った。ケガの瞬間の記憶は曖昧でも、帰国後は3カ月間の安静を強いられ、トラウマが残った。現地入り後は公式練習でも思わず涙が出るなど、メンタルは崩壊寸前。そんな状況で気持ちを奮い立たせ、強気の技構成が快挙につながった。

 多くの選手が“置きにいく”構成を組みがちな1回目。最後の5発目の技に、先月の冬季Xゲームを制覇する原動力にもなったフロントサイド1080テールグラブに挑んで成功。2本目はさらに攻めて得点を伸ばし、「正直、1本目から決められたのがデカくて」と笑った。

 招待客だけが観戦できる今大会。4年前は平昌まで来た両親はそこにはいなかったが、妹と一緒に大舞台に立った。「お互いにプッシュできた」と話したが、自分の競技に集中したい中でも1、2本目と転倒したるきを鼓舞し、リフトにも一緒に乗った。「1人よりも2人で頑張れるのは凄く力になった」と、その存在に感謝した。

 4年後は「今は考えていない」と話したが、夢に描く光景がある。「(子供たちが)趣味でもいいから始めてほしい。きっかけになれば」。スノボーをもっとメジャーに。夢の実現に必要なメダルとなった。

 ◇冨田 せな(とみた・せな)1999年(平11)10月5日生まれ、新潟県出身の22歳。3歳からスノーボードを始め、中1でプロ資格を取得。17~18年シーズンにW杯に本格参戦し、18年平昌五輪は8位入賞。W杯では通算で2位3回、3位4回。先月の冬季Xゲームを初制覇。新潟・開志国際高―全日本ウィンタースポーツ専門学校。アルビレックス新潟所属。スタンスはレギュラー。1メートル60、58キロ。

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