18歳・鍵山が銀「親孝行ができた」父・正和コーチと新時代の扉開けた

[ 2022年2月11日 05:30 ]

北京冬季五輪第7日・フィギュアスケート 男子フリー ( 2022年2月10日    首都体育館 )

男子フリーで演技をする鍵山優真(撮影・小海途 良幹)
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 初出場でSP2位の鍵山優真(18=オリエンタルバイオ・星槎)がフリーで201・93点をマークし、自己ベストの合計310・05点で銀メダルを獲得した。団体戦を除き、フィギュアスケートの日本人選手で最年少メダリストとなった。

 鍵山の最初の4回転サルコーは出来栄え評価(GOE)4・43の完璧なジャンプだった。続く4回転ループは着氷が乱れたが、すぐに立て直した。「キス・アンド・クライ」で銀メダル以上が決まる得点を確認すると、父・正和コーチ(50)と抱擁。「五輪を目指して頑張ってきた全ての努力がつまった銀メダル」と最高の笑みを浮かべた。

 5歳で競技を始めた頃「転ぶのは嫌い」と言ってジャンプを避け、同年代が1年もかからず跳ぶ2回転半ジャンプの習得に3年かかった。ただ、五輪はその頃からの夢。オリンピアンの父と二人三脚で技を磨いてきた。

 18年6月、その父が脳出血で倒れた。半年以上も直接指導を受けられなかったが、当時中学3年の鍵山は、お見舞いには練習動画を持参。踏み切るタイミングや角度、空中姿勢など質問攻めにした。父は最高12位だった五輪でつかんだ表彰台。リンクを離れれば父の車いすを押す孝行息子は「親孝行できたかな」とはにかんだ。

 夜のセレモニーで銀メダルをもらった18歳は「今までのメダルより大きくてずっしり」と喜んだ。団体戦を除けば14年ソチ五輪で19歳で金に輝いた羽生を上回る日本フィギュア史上最年少。羽生からは「よく頑張ったね」と声を掛けられた。

 「チェン選手は無敵だなとしか思えない」と冷静に現在地を見る。ただ、シニアへの転向を意識した頃から父に「1位を目指さなければ2位も3位もない」と言われ、羽生、宇野に挑んできた鍵山は「自分はもっと上にいける。コツコツ成長したい」とさらなる高い山を見据えていた。

 ◇鍵山 優真(かぎやま・ゆうま)生まれとサイズ 2003年(平15)5月5日生まれ、横浜市出身の18歳。六角橋中から通信制の星槎国際高横浜に在学中。現在の拠点は名古屋。1メートル61。

 ☆競技歴 92年アルベールビル、94年リレハンメル五輪代表の父・正和コーチの誘いで5歳から始める。父親譲りの膝を使った柔らかいジャンプで、ループ、サルコー、トーループの4回転を跳ぶ。

 ☆実績 19~20年シーズンに一気に才能が開花。19年全日本ジュニアを初制覇。20年ユース五輪金メダル。19、20年の全日本選手権3位。20年四大陸選手権で3位。

 ☆特技&趣味 縄跳びの4重跳び5連続が最高。「マイ縄跳び」を持ち、夢中になりすぎてケガしそうになったことも。オフはスマホやゲーム機などのゲームに熱中。選手村にゲーム機を持ち込んだ。

 ☆愛称 SNS上の愛称は「ゆまち」、正和コーチは「ぱぱち」。スポニチ写真映像部の公式インスタグラムのフィギュア写真に、誰よりも早く“いいね”をつけ、ファンと競っている。

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