羽生結弦、夢へ跳べ!さあ4回転半「頑張ります!」運命のフリー 10日午後1時14分

[ 2022年2月10日 05:30 ]

氷にほほ笑みかける羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 北京五輪フィギュアスケート男子でショートプログラム(SP)8位の羽生結弦(27=ANA)は9日、サブリンクでの公式練習に臨み、五輪史上初の成功を目指すクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に5度アタックし、最終調整を終えた。昨年末の全日本選手権からはジャンプの基礎点が4点アップとなる“五輪仕様”。10日、日本時間午後1時14分から人事を尽くす運命のフリーが始まる。

 失うものは何もない。羽生は本能のままに、4回転半を跳び続けた。前日練習で5回挑んだが、成功はなし。それでも、フリーで組み込む明確な意志があった。練習後の取材エリアでは「明日、頑張ります!」と一言。練習中に転倒した足について問われると、左拳を大きく突き上げて問題なしをアピール。「ありがとうございます。頑張ります」。再び同じ言葉を発し、会場を後にした。

 失意のSPから一夜、気持ちは切り替わっていた。リンクインの瞬間から臨戦態勢に入り、試合直前の6分間練習のように次々と4回転ジャンプを成功。SPで失敗したサルコーに続き、トーループ、さらに珍しくループも成功。雑念を振り払うかのように闘志を込めた。

 練習開始から10分後の曲かけではフリー「天と地と」に乗せて初めて4回転半を試運転。回転がやや足りずに着氷が乱れ両足着氷となったが、北京入り後最も成功に近いものだった。その後、アタック4回。3度は回転が抜け、最後に臨んだジャンプでは激しく転倒した。痛そうな表情を浮かべながらも、再び立ち上がった。

 掲載された予定構成表には、五輪で初めて「4A」の文字が刻まれた。さらに、演技中盤には3回転半(トリプルアクセル)―3回転ループ、3回転フリップ。全日本では3回転半―2回転トーループに3回転ループという構成で、基礎点は4点アップした。五輪仕様は完成が近づく4回転半を含め、ジャンプ基礎点の合計は80・00点となり、自身最高まで上昇した。

 羽生は、かつて語ったことがある。「人生の中で絶対これをやると言って、やりきれなかったことはない」。数々の夢をかなえてきた伝説の男が、次なる目標に向かう、日本時間午後1時14分。揺るぎない信念を胸に、羽生が高く舞い上がる。

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