パワーリフティング、ジョン・エイモス代表HC 積極的な対話と豊富な知識で信頼築いた

[ 2021年9月3日 05:30 ]

日本代表の強化に努めてきたジョン・エイモス氏
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 【支える人(10)】代表強化に欠かせないのが優れた指導者の存在。適任者が国外にいればパラ競技でも招へいすることはある。パワーリフティングもそんな競技の一つだ。

 「他国からの誘いもいくつかあったけど、日本での挑戦に発展的な可能性を感じた」とジョン・エイモス氏(63)は振り返る。かつては母国の英国を率いてパラ金メダリストを輩出し、国際連盟技術委員長も務めた。東京パラに向け、16年に日本代表の合宿拠点が京都に整備されたことを契機に、日本連盟が定期的に合宿講師を依頼。19年4月から代表ヘッドコーチに就任した。

 隔月の来日指導でまず取り組んだのは意思の疎通だ。障がいの状態で指導も異なる中で「成功の鍵は相互信頼」と選手一人一人と対話を重ねた。日本連盟の吉田進理事長(70)は「言葉に重みがあって非常に丁寧。大学で運動生理学を教えられるぐらいの知識がある。評価の基礎をまとめてくれた」と振り返る。

 従来の練習は自己流が多かったというが、拠点整備とエイモス氏の指導で科学的アプローチの手法を構築。半信半疑だったベテランでも指導を受け入れる選手が増えたという。“コロナ以降”はパラ直前まで約1年半にわたって来日できず「修正は直接指導する中で特定の瞬間に行われるからこそ価値がある」と嘆いたが、動画やSNSを通じたリモート指導で選手を支えた。

 男女4階級に出場した日本は男子72キロ級で6位に食い込んだ宇城元(48=順大職)以外は最下位と苦戦。それでも最後のパラ代表枠を争った6月のW杯では若手の有望株らが多く日本記録を更新した。

 まいた種がどう芽吹くか。真価は3年後に問われることになる。

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2021年9月3日のニュース