陸上女子1万代表、新谷 五輪選手優先ワクチンに「おかしい話。平等に」

[ 2021年5月9日 05:30 ]

陸上の東京五輪テスト大会を前に、オンラインで記者会見する(左から)田中、新谷、桐生、寺田
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 陸上の東京五輪テスト大会(9日、国立競技場)のオンライン前日会見が8日に行われ、女子5000メートルに出場する東京五輪1万メートル代表の新谷仁美(33=積水化学)ら選手からIOCによる「五輪、パラリンピック参加者への新型コロナウイルスワクチン提供」に関して戸惑いの声が続出した。

 新谷はワクチン接種が国民に広まっていない現状で、五輪参加者が優先されることに、「アスリートだけが特別という形で聞こえてしまっているのが非常に残念だと思う。五輪選手だけが、というのはおかしい話と思う。平等に、どの命も守らなければいけない」と違和感を訴えた。

 接種に関しては「自分が打たないことで他の人に危険が及ぶなら打ちます」としながらも、「正直なところ恐怖もある。症状がどう出るか分からないので打ちたくない思いもある」と副反応を警戒した。

 女子1500メートルに出る田中希実(21=豊田自動織機TC)は「アスリートは与えられた(接種の)権利に対して(受けるかどうか)考えることしかできないと思う」と慎重に言葉を選び、「怖いかなというのがある」と接種の不安も打ち明けた。

 女子100メートル障害の寺田明日香(31=ジャパンクリエイト)は、「(周囲に)感染の不安を与え、負担を強いてしまうことにつながるので、打つ必要があるのかなと考えている」と語った。男子100メートルの桐生祥秀(25=日本生命)は「どういう発言をすればいいのか迷っている自分がいる」と複雑な心境を口にした。

 《桐生、ガトリン撃破へ「自分自身に集中」》桐生がガトリン撃破を狙う。「自分自身に集中すれば結果につながると思うのでそれだけを考えたい」。今もトップレベルの04年アテネ五輪金メダリストの参戦で、2年ぶりに世界を感じて走ることができる。国内のライバルも多く、小池、ケンブリッジ、多田が参戦。しかし、「金メダリストと走るのは久々。誰との勝負と考えず、自分のレースをしたい」と自分との勝負を掲げた。

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2021年5月9日のニュース