相撲の立ち合い 衝撃1トン以上、格言「顔から落ちろ」はもはや死語

[ 2021年4月30日 05:30 ]

土俵でこん倒、三段目28歳・響龍さん死去

響龍さん(2020年7月21日撮影) 
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 【記者の目】立ち合いの衝撃は1トン以上に達するとも言われている。相撲の醍醐味(だいごみ)は、危険と隣り合わせだ。元横綱・貴乃花光司さんが「毎日、交通事故に遭っているようなもの」と表現したことが思い浮かんだ。ボクシングやプロレスなどではリングサイドにドクターが常駐する。響龍さんが負傷した取組では医師が駆けつけたものの、担架に乗せるまで5分近くかかった。もう少し早く駆けつけていれば、応急処置に精通している担当者がいれば、の思いは拭い切れない。

 今年の初場所では脳振とうを起こした力士を再び土俵に上げて物議を醸した。協会は柔軟に対応し、審判団が続行不可能と判断した場合は不戦敗にできるなど規定を変更。今回の件を受け、審判部が土俵近くでの医師の常駐を提案しているという。ある親方は「顔から落ちろとは言えなくなる」と語った。勝負への鉄則を表す相撲の格言はもはや死語だ。「危機管理」に関しては腰の重かった相撲協会が、ようやく危険防止への動きを加速させている。(相撲担当キャップ・黒田 健司郎)

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2021年4月30日のニュース