土俵でこん倒、三段目28歳・響龍さん死去 春場所の救急搬送から入院1カ月、力尽く

[ 2021年4月30日 05:30 ]

響龍さん(2020年7月21日撮影) 
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 大相撲の三段目力士・響龍の天野光稀(あまの・みつき)さん=境川部屋=が急性呼吸不全のため28日午後6時20分、都内の病院で死去した。28歳だった。日本相撲協会が29日に発表した。響龍さんは春場所13日目の3月26日、取組の際、すくい投げで頭から落ち、土俵上で5分近く動けず救急搬送されていた。1カ月にわたる治療も及ばず、帰らぬ人となった。葬儀・告別式は境川部屋関係者のみで執り行われる。

 響龍さんは勝ち越しを懸けた春場所13日目、投げられると手をつくことなく頭部を土俵に強打。うつぶせに倒れた状態のままで、行司が勝ち名乗りを上げる異様な光景となった。首が一瞬、異様な角度で曲がるのが見えたといい、審判を務めた親方から「救急車呼べ」と怒号が飛んだ。

 呼び出しが体を仰向けにしたが、自力では動けなかった。意識のあった本人が「すみません、息ができないです。首から下の感覚がないです」と話したために、下手に動かせなかったという。その後、駆けつけた医師が土俵に上がり容体をチェック。勝負がついて約5分後、担架に乗せられ救急搬送された。

 事故直後、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「脳振とう、頸椎(けいつい)が損傷しているように見える。頸椎の神経が圧迫されている可能性があるかも」と説明。翌3月27日には師匠の境川親方(元小結・両国)が「今、一生懸命、治療に専念しております」とコメントした。首から下が動かない状態だったが、話はできたという。回復傾向にあったが、入院から約1カ月の28日に急性呼吸不全で他界。死因について芝田山部長は「(取組と)因果関係は分からない」とした。

 ある同期入門の現役力士は「響龍はしゃべるのが好きで、本当に明るい性格。めっちゃいいやつです」と明かす。支度部屋でも入念に準備運動をして、真面目に相撲と向き合うタイプという。「コロナが落ち着いたら同期生で集まろうと話をしていた。突然すぎて頭の中が真っ白です。(相撲が)怖いです」。新型コロナウイルスに感染した勝武士さんが昨年5月に死去。再び仲間でもある現役力士がこの世を去りショックを隠せなかった。

 訃報を受け、八角理事長(元横綱・北勝海)は「私自身、突然の訃報に、ただただ驚き、ぼう然としております。1カ月以上にわたる闘病生活、さぞつらかったかと思いますが、ご家族や師匠らの懸命の看病のもと、力士らしく、粘り強く耐え、病魔と闘ってくれました」などとコメントした。協会関係者によると、今回の事故を受けて夏場所の直前に緊急時の対応について審判部の親方衆らが講習会を受ける予定だったという。だが、それを前に現役力士が取組のアクシデントがきっかけで命を落とす、よもやの事態となった。

 ◆響龍 光稀(ひびきりゅう・みつき)本名・天野光稀(あまの・みつき)。1993年(平5)3月17日生まれ、山口県下関市出身。響高(現下関北高)から境川部屋に入門し、2011年技量審査場所で初土俵。夏場所番付は東三段目79枚目。通算195勝206敗5休。最高位は三段目24枚目。1メートル79、142キロ。

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