羽生結弦が成功目指す4回転半、妥当な基礎点を考える

[ 2021年4月13日 17:37 ]

4回転半成功を目指している羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 12・5点。フィギュアスケート男子で五輪連覇の羽生結弦(ANA)が、人類史上初の成功を目指しているクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)の基礎点だ。

 今季序盤、羽生は新型コロナウイルスの影響でグランプリ(GP)シリーズの出場を回避。勝負のリンクから離れる中、これまで以上に超大技の練習に時間を割いた。昨年末の全日本選手権を制した後も、3月の世界選手権で投入するためにギリギリまで調整を続けていた。

 トライ数は1000回を超えたという。それでも、まだクリーンな着氷はできていない。切れ味抜群のトリプルアクセルを跳ぶ羽生にとっても、4回転半は高い壁として立ちはだかる。

 現行ルールのジャンプの基礎点はこうだ。トーループ(3回転=4・2点、4回転=9・5点)、サルコー(3回転=4・3点、4回転=9・7点)、ループ(3回転=4・9点、4回転=10・5点)、フリップ(3回転=5・3点、4回転=11・0点)、ルッツ(3回転=5・9点、4回転=11・5点)、アクセル(3回転半=8・0点、4回転半=12・5点)。フリップまでは3回転→4回転で基礎点は2倍以上となり、ルッツも2倍近い。だが、アクセルは1・56倍にとどまる。

 3回転ルッツとトリプルアクセルの基礎点の差は2・1点だが、4回転ルッツと4回転半の差はわずか1点。今季開幕前、国際スケート連盟(ISU)は4回転ループ、フリップ、ルッツの基礎点を全て11・0点とするルール改正を行おうとした(のちにコロナ禍の練習状況などを考慮して凍結)が、仮に実行されていても4回転ルッツと4回転半の差は1・5点だった。

 平昌五輪が行われた17―18年シーズンまでは4回転半の基礎点は15・0点だったが、ルール改正で4回転などの基礎点は下がって、18―19年シーズンから現行の点に。下げ幅は4回転半がもっとも大きい2・5点だった。出来栄え(GOE)の幅が増え、マックスの加点を引き出せば17―18年シーズンまでの最大得点を超えるが、減点幅も大きくなったため、容易に成功できないジャンプにとってはむしろデメリットの方が大きい。

 12・5点。前例のない偉大なアタックの対価としては、あまりにも低いのではないだろうか。うがった見方かもしれないが、ISUは4回転半は最初から不可能なものとして真剣な議論をしていないのでは、とも思える。3回転ルッツとトリプルアクセルの点差から考えても、4回転半の基礎点の最低ラインは13点後半。3回転→4回転のアップ率から考えると、16点前後あってもいい。

 羽生にとって、4回転半挑戦の源泉にあるものは「納得」だと言う。世界選手権フリー翌日の取材でも、「アクセル跳べないと満足できないので、一生。最終目標は五輪で金メダルではなくて、あくまでも4回転半を成功させること」と話していた。

 北京五輪シーズンとなる来季のジャンプの基礎点変更は現実的ではないとみられる。それでも、願わずにはいられない。超大技が決まった時、羽生はもちろん、歴史の証人となった全ての人が「納得」できるようなスコアであることを。(大和 弘明、杉本 亮輔)

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