阿部詩 女王の貫録V 378日ぶり実戦で決勝までオール一本勝ち

[ 2021年3月6日 05:30 ]

柔道グランドスラム(GS)タシケント大会第1日   女子52キロ級決勝 阿部 棄権 ルハグバサウレン ( 2021年3月5日    ウズベキスタン・タシケント )

女子52キロ級準決勝、ブラジル選手(下)を攻める阿部詩(国際柔道連盟提供)
Photo By 共同

 男女計5階級が行われ、東京五輪女子52キロ級代表の阿部詩(20=日体大)は、昨年2月下旬のGSデュッセルドルフ大会以来、約1年ぶりの実戦で優勝を飾った。決勝はモンゴル選手が棄権して不戦勝。男子66キロ級の兄・一二三と同時出場する東京五輪へ、力強く再始動した。男子60キロ級の永山竜樹(24=了徳寺大職)、女子57キロ級の玉置桃(26=三井住友海上)が頂点に立った。

 久しぶりの実戦でも、思うような柔道ができなくても、結果を出してこそ真の実力者。昨年2月21日のGSデュッセルドルフ大会以来、378日ぶりの試合に臨んだ阿部が、苦しみながらも表彰台の頂点に立った。

 今大会のテーマを「試合勘を取り戻し、緊張感の中でどう動けるか試したい。しっかり自分の柔道をやり切りたい」と設定。初戦は先手で仕掛けられ、準々決勝では先に指導2で追い込まれるなど、らしくない戦いが続いた。ただ、まともに組んでもらえず、技を封じられる状況でも動じず。準決勝では関節技を決めるなど、落ち着いて相手を仕留め、3試合オール一本勝ちで決勝に勝ち上がった。

 昨年4月以降は稽古ができず、本格的な再開は7月から。五輪1年延期を有効に使おうと、新たに低い位置から入る技や足技の習得に励み、実際に準々決勝では小外刈りで韓国選手から一本を奪った。高地トレーニング施設で心肺機能の強化にも取り組むなど、進化を図ってきたが、右肩を痛めたことで1月のマスターズ大会を回避。実戦復帰が2カ月遅れる誤算が生じながらも、世界女王のプライドを見せつけた。

 決勝は相手が棄権。貴重な実戦機会で3試合しか戦えず、試合勘を取り戻すという意味では、やや消化不良な復帰戦となった。それでも五輪代表、そして20歳としての初実戦で「どう戦うのか、頭で考えて取り組むようになった」と大人の柔道を披露。7月25日の決戦の日へ、意義深い一日となった。

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2021年3月6日のニュース