稲葉将、本番会場で優勝 緊急事態宣言中は“SNS戦略”実施 パラ馬術

[ 2020年11月28日 05:30 ]

パラ馬術全日本選手権第1日 ( 2020年11月27日    東京・馬事公苑 )

演技を行う稲葉とカサノバ号
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 団体課目が行われ、5段階のクラス分けで障がい3の稲葉将(25=静岡乗馬ク/シンプレクス)が全クラスを通してトップの得点率67・059で優勝した。コロナ明け初の大会は、東京パラリンピックの本番会場で実施。「とてもいい会場。本番前に経験を積むことができて良かった。点数はもう少し上げたかった」と振り返った。

 2017年から競技を開始し、約3年の間に強化指定選手にまで上り詰めた稲葉。東京大会の代表候補としても有力だ。東京大会の後も、日本のトップ選手として活躍したい。その思いから、緊急事態宣言中で馬と練習できなかった期間、稲葉は“SNS戦略”に取り組んだ。

 「自分のことを発信するのは苦手。今後も第一線で活動していきたいが、気持ちだけではどうにもならない。だから、思い切って始めてみました」

 自身のオフィシャルホームページを作成し、スポンサー確保のため自ら話をしにいくこともあるという。現在はサプリの商品提供などで、7社からサポートを受けている。

 1996年アトランタパラリンピックで馬術が正式種目に採用されて以降、日本でメダルを獲得した選手はいない。来夏の祭典では、初めてのメダル獲得を狙っている。「人馬ともにベストな状態にあげていきたい」と意気込んだ。

 ▽パラ馬術 肢体不自由、視覚障がいの選手による男女混合の馬場馬術。障がいの程度によって5つのクラスに分けられ、数字が小さい方が障害が重い。演技の正確性と芸術性を競い、個人課目、団体課目、自由演技課目の3種目が実施される。

 ◆稲葉 将(いなば・しょう)1995年5月23日、神奈川県横浜市出身の25歳。先天性の脳性まひによる両下肢まひ。小学校時代は少年野球チームに所属。小6からリハビリをかねて乗馬を開始し、東洋大4年時に本格的に馬術競技をスタート。翌年18年には世界選手権に出場。趣味はプロ野球観戦。

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